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» 2011年10月17日 17時27分 UPDATE

「世界で一番かっこいいネットの政治メディア」を──新たな可能性を模索する津田大介さん (1/3)

東日本大震災後、積極的に被災地の取材を重ね、Twitterなどで情報発信してきたメディアジャーナリスト・津田大介さんはいま、「メディアアクティビスト」を名乗り、メディアの新しい可能性を模索している。

[榊原有希,ITmedia]

 東日本大震災から7カ月が過ぎた。3月11日以来、ソーシャルメディアは、災害情報やニュースが高速度で送受信される情報インフラとして、定着しようとしている。「Twitter社会論」などの著書で知られ、ソーシャルメディアの最前線を走ってきたメディアジャーナリスト、津田大介さん(37)。震災後、積極的に被災地の取材を重ね、Twitterや Flickrなどを駆使して情報発信してきた。そして今、メディアの新たな可能性を模索し始めている。9月には、初めての有料メールマガジン「メディアの現場」を創刊。その目的は、「世界で一番かっこいいネットの政治メディア」を立ち上げること──。

被災地取材に没頭「リアルタイム紀行型ジャーナリズム」

photo 津田さん

 震災直後から、精査した災害情報をTwitterで発信してきた津田さん。震災前には11万人だったフォロワー数は、一気に5万人以上増え、現在は20万人に届こうとしている。人々がいかに、ソーシャルメディアから「情報」を求めていたかが分かる。「宮城県に住む友達は、震災の時に会社から家へ帰る途中でしたが、防災無線が聞こえず、車内でラジオも聞いてなかった。でも、Twitterで津波が来ると知って、親を連れて避難して助かりました。ソーシャルメディアがもたらした力は大きかった。ネットに対する世間のアレルギーも減った気がします」

 しかし、大手メディアの報道は、震災後も変わっていない。「今の新聞やテレビの政治報道は、政局ばかり。横並びで見るに耐えない。去年の秋から、もっと皆が本当に知りたい政策にフォーカスした政治メディアを作りたいと思い始めていました」と津田さん。「メディアビジネスはお金にならないと言われていますが、今年、米ニュースサイト『Huffington Post』が約200億円でAOLに買収された事実は重要。僕がHuffington Postみたいなメディアを作りますと言ったら、誰かだまされて出資してくれるところがあるんじゃないか(笑)。そんなことを考えていました。1億円あればできると思うので、うまく出資金を集められないかなと。そのコンセプトを具体的に考えようとした時、大震災が起きてしまった」

photo Flickrにアップされた被災地、宮城県気仙沼市の様子。津田さんの写真はクリエイティブ・コモンズライセンスに基づき、誰でも利用できる

 3月に買ったばかりの愛車を何度も被災地に走らせ、津田さんは取材に没頭した。Flickrにアップされた被災地の写真は、現在までに1300枚を超え、世界各国のユーザーから反響が届いている。途中からは、取材にもソーシャルメディアを積極的に利用し始めた。「あらかじめ調べていくのではなく、『今日は福島件いわき市に行きます。どこか見ておいた方が良い場所はありますか』とTwitterで聞くと、現地の人がいろいろな最新情報を教えてくれる。寄せられた情報を僕がリツイートすることで、多くの人に被災地の現状の一部を生々しいリアリティーで伝えることもできるし、実際に僕もそれで取材先を決めたり、現地の人から『取材してください』という連絡が来て話を聞きにいったり。これを僕は『リアルタイム紀行型ジャーナリズム』って呼んでるんですけどね(笑)。まぁ良くも悪くも僕にしかできないかなと」

 例えば、「いわき市にあるセブン-イレブンいわき豊間店が面白いから行ってみてください」と教えられ、訪ねて行ったことがある。豊間地区は、集落800戸のうち8割強が全半壊。住民は避難して、子どもたちの姿は消えてしまった。「なんとか子どもたちを戻したい、復興の拠点にしたいという思いから、このセブンイレブンの店長は、店にアート作品やゴジラの人形を置いたりしていました」

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