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「2ちゃんねるで叩かれていた」――Facebookにはまり続ける武雄市長の“野望”とは(3/4 ページ)

» 2011年12月14日 07時00分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo 武雄市のFacebookページ

――Facebookは米国の私企業が運営しているサービスですが、万が一のデータ消失に備えたバックアップなどへの懸念はないでしょうか。

樋渡市長 全然ないです。市のページに上げているデータなんて全部なくなったっていいぐらいなので。例えば観光情報とかは全部紙媒体で残しているので、いつデータがなくなってもかまわないわけですよ。

 当初は個人情報をFacebookのサーバに入れるのはどうかという反対意見もありましたが、そもそも個人情報なんてWeb上に載せるはずがない。もともとのホームページにも載せていなかったし、全部なくなっていい情報しか載せていません。市報をFacebookに載せたりもしていますが、これも紙の情報をデータ化して載せているだけなので、いつなくなっても大丈夫。

――災害などの緊急時にたまたまFacebookがダウンしていて、市民に緊急情報を送れないという可能性もあるのでは。

樋渡市長 その場合はTwitterがあるので大丈夫です。例えば今でも洪水警報などの緊急情報はTwitterで流している。

 そもそも緊急情報を流すというのは、Facebookに期待する機能ではありません。Facebookに期待しているのは、市民と市職員のコミュニケーションという点だけです。

Facebook通販で“織田信長の限界”を超える

photo F&B良品

――11月7日にはF&B良品という通販ページをFacebook上に開設していますが、ここでの売り上げは市の収益には入らないわけですよね。

樋渡市長 そうですね、この収益が直接武雄市に入るということはないです。

 F&B良品ではとにかく、良い商品を作っている中小企業の「通販で売りたい」というニーズに応える。大手通販業者に頼むとものすごく手数料がかかるし、どこに出せばいいかも分からないわけですよ。うちは出品までのサポートをしっかりするし、手数料もゼロ。おまけに専属のカメラマンもつける。いわば“至れり尽くせり”ですね。

 これと同じようなことをやった人が、日本の歴史上で1人いる。楽市楽座(注:16世紀ごろ、城下町などで行われた税の減免政策)ってあったじゃないですか。そう、織田信長です。でも信長には限界があって、狭いエリアでしかできなかった。当時としては大規模とはいえ、ごく狭いエリアでしかできていなかったわけです。

 それを今、Facebookの力を借りて、全国を楽市楽座にするのが僕の夢。それで何が起きるかというと、これまで中間マージンが全部大手通販業者にいっていたのが、全部地元企業にいくし、消費者も安く買えるようになる。

――現代の楽市楽座を、全国規模でやっていくと。

樋渡市長 そう、やっていきます。これを実現するために、このF&B良品を技術モデルとして各自治体に対して売っていこうと思っています。

 具体的には、運営方法などのルールを決めた上で、それを守ってもらえる自治体に対してこのモデルを100万円で売っていく。市のページのFacebook化と、その地域のF&B良品ページの開設をして、しかもそれを全部運営もしてあげようと。

 こういう取り組みをするための主体として、民間企業と一緒に団体を作ります。団体名は「F&B会議」(Fun&Buy会議)と呼ぼうと思っていて。持ち株会社ではなく、ゆるやかに会社を持っているという意味で。

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