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Facebookとの連携もありうる──ミクシィ・笠原社長2012年 それぞれの「スタート」

» 2012年01月05日 11時00分 公開
[榊原有希,ITmedia]

 ユーザー数2535万人を誇る日本最大級SNS「mixi」。競合サービスと目されていたTwitterと手を組むというニュースは昨年末、日本中を駆け抜けた。その第1弾となったクリスマスキャンペーン「mixi Xmas 2011」では、両サービスからの投稿が20万件を超え、連携は好調な滑り出しをみせている。強みであるプライベートな友人同士のつながりに対し、パブリックでオープンな場である「mixiタウン」構想など昨年から多様な展開をみせているmixi。「今後、Facebookとの連携もありえる」というミクシィの笠原健治社長に、今年の展望を聞いた。

photo 笠原社長
photo mixi Xmas

 「mixi Xmas」は、お互いのページに飾られた靴下のベルを鳴らし合って、ためたポイントでプレゼントをもらえたり、友人などにプレゼントを贈ったりできる企画。mixiとTwitterの双方にハッシュタグをつけて投稿可能で、11月30日から12月25日までの期間中の投稿は21万6千件にのぼった。「非常に多くの方がコメントを書いて下さいました」と笠原社長は、連携に手応えを実感している。

 mixiとTwitterは、昨年3月の東日本大震災で情報交換の場として活用されたことを契機に、「もっと連携ができれば、災害時に役立つ」として、本格的な相互乗り入れを開始した。ライバルと思われてきた両サービスだが、「mixiとTwitterは位置付けが違うと思っています」と笠原社長は断言する。

 「mixiは仲の良い友人知人同士のコミュニケーションサービス。Twitterはインフォメーションプラットフォーム。Twitter上で面白いネタや情報を見つけたらmixiでそれを伝え、友人知人との仲を深めることができる。逆に、友人知人との間で出てきた有益な情報をTwitterで拡散することもできる。お互い連携すれば、より利便性の高いユーザー体験を提供できます。双方の架け橋となるよう、今後、サービスを丁寧に設計していきたい」

 そこで気になるのは、昨年から日本でも本格的に広まっているFacebookの存在だ。Twitter同様、上陸当初からmixiの競合とみられてきた。「ユーザーの方によって使い方は様々だし、当てはまらない方がいることも分かっているのですが」と丁寧に前置きした上で、笠原社長はこう分析する。

 「運営サイドが目指しているものを表現すると、mixiはプライベートグラフ、Facebookはパブリックグラフがコア。Facebookは良くも悪くも完全な実名制で、人を探しやすいのですが、逆に言えば、探されやすい。つながりが広がりやすい性質を必然的に持っています」。一方mixiは、調査によると20代前半のユーザーのうち70%が、実名もしくはニックネームなど友人知人には分かる名前で登録している。「裏を返すと、一見、実名では探しにくいのですが、自分でつながりの範囲をコントロールできるサービス。自分にとって距離の近い人とつながることができる、心地よい空間だと考えています」

 そのため、Twitter同様にFacebookもmixiとはコミュニケーションの質が異なるという見方だ。「Facebookは昨年から非常に伸びてきましたが、ユーザーの利用動向をつぶさに見ていると、mixiとは使い分けがされていると感じています。使い方に違いがある以上、双方に登録しているユーザーにとって、双方のサービスを使いやすくしていく方法は必ずある。今後、Facebookとの連携もありえると思っています」

 mixiは昨年夏、パブリックでオープンな場を提供する「mixiタウン」構想を打ち出し、注目を集めた。現在、企業や著名人などが開設する「mixiページ」や、mixiアプリのゲーム系アプリだけを集めた「mixiゲーム」が開設されている。「mixiタウンは町作りに似ています。例えば、ユーザーにとってのホームが東京都世田谷区にある自宅だとすると、気兼ねなくそこに親しい友人を呼んで楽しめる。これに対し、タウンは渋谷の繁華街のようなもので、ゲームセンターがあったり、カラオケがあったり。ホームで遊んでいる友達とタウンに出かけて行くこともあるし、週末はタウンで知り合った友人とホームで遊ぶこともあるでしょう」と笠原社長は説明する。

 従来の不特定多数のユーザーが集まる「コミュニティ」との違いは、「情報伝播力」という。「例えば、mixiページにコメントすると、つながっている友人達に伝わります。そのページに興味がなかった人にも情報が拡散していきやすい。今後、タウンではコミュニティやニュースなどのラインアップを強化していきたい」

photo 近くリリースする「Pelo」のイメージ

 こうした「mixiタウン」構想は、濃密なプライベートグラフを基盤としてきたmixiのソーシャル化と指摘された。しかし、「方針が変わったわけではありません」と笠原社長は言葉を重ねる。以前より、「mixiは友人知人とコミュニケーションができる日記が縦軸、他のユーザーとコミュニケーションができるコミュニティが横軸」と説明してきた。「縦軸と横軸があることで、mixiが広がっていく。それが今、ホームとタウンという言い方になっています。ここ2、3年間はホームを強化し続けてきましたが、今年はタウンをしっかり作ってゆくことでホームにも刺激を与え、mixi全体の活性化を目指します」

 Twitterとの連携がさらに進み、間もなく位置情報共有サービス「Pelo」がリリース予定だ。また、SNSを利用して商品やサービスを売買する「ソーシャルコマース」を実現したいと笠原社長。「現実世界でも、友人と一緒に町へ出かけ、たまたま見たものを衝動買いしたり、友人に勧められて何かを買ったりすることがあります。今年はそこをしっかり立ち上げたいと思っています」

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