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Google Readerはなぜ終了? 元責任者が理由を推測

» 2013年03月14日 17時48分 公開
[ITmedia]
photo Quoraに投稿された元Google Reader責任者の投稿

 「売り上げとコストの問題とは無関係だ」──米GoogleがRSSリーダー「Google Reader」を7月1日で終了すると発表したことについて、Google Readerの元プロダクトマネージャーが米Q&AサイトのQuoraで理由を推測している。彼は、GoogleがGoogle+へ注力するために2011年秋に実施したGoogle Readerのリニューアルが影響したとみている。

 「なぜGoogleはGoogle Readerを終了するのか」という質問に回答を寄せたのはブライアン・シー(Brian Shih)氏。起業を経て2007年9月から2011年7月までGoogleに勤務し、Google ReaderとGoogle Financeのプロダクトマネージャーを務めた。現在はモバイルゲームのPocket Gemsでプロダクトマネージャーとしてゲーム開発を手がけている。

 シー氏によると、Google Readerが直接的に収益を上げたことは全くないし、それがGoogle Readerのゴールでもなかった。サービス終了は収益的な問題とは何の関係もないという。

 Google Readerのチームは社内的な引き抜きの危機に遭ってきたという。Google Readerのスタッフは、トップダウンが一般的なGoogleのほかのサービスと異なり、ユーザーの反応を元に独自にソーシャル機能を発展させてきた、「ソーシャル」をよく理解しているスタッフだった。こうしたスタッフが2010年、Google+の開発のために投入され、この時点でGoogle Readerは実質的にメンテナンスモードに入ったのだという。

 Google+は2011年6月に公開された(シー氏は7月に退社している)。シー氏は、当分の間はGoogle+で共有されるコンテンツの基点としてGoogle Readerは役に立ったとみる。だがGoogle Readerは同年10月に大幅にリニューアルされた。Google+のリリースに合わせてGoogleの各サービスで順次行われたデザイン統一が施され、Google Reader独自のソーシャル機能や共有機能が削除された。

photo 11年秋のリニューアル当時の画面

 一方でGoogle+と連携させることで、Google+への共有が簡単に行えるようにした。ただ、Googleは「このサービスがもう自分向きではなくなったと感じる人もいるだろう」と、データのエクスポート機能を用意することも明らかにしていた。このリニューアルには日本でもさまざまな反応があり、「見づらい」と新デザインに対する批判的なものが多かった。

 シー氏はこのリニューアルをきっかけに、Google Readerの利用が減り始めたのではないか、と見ている。これはあくまでシー氏の推測だが、特に共有がしづらくなったのは大きく、シー氏もリニューアル後はGoogle Readerから共有をしなくなったという。

 その後デザインの改善が行われたが、シー氏はGoogle ReaderからGoogle+への共有が活発になることはなかったのではないかとみている。「Google+への利便性が減り、(おそらく)利用も減り、Googleがこの2年間Google+に強くフォーカスしている以上、Google Readerを終了させる以外の選択があったろうか?」としている。

 シー氏は11年のリニューアル時も自らのブログに批判をつづっており、「Google Readerはプロダクトとしてはずっと放置されてきた」と記すなど、Google Readerの社内的な扱いに不満を抱いていたようだ。シー氏の推測については、こうした背景もあることを念頭に置いておきたい。シー氏の回答に対し、少なくとも2010年9月まではユーザーは伸び続けていたのではないか、と質問を投げかけるユーザーもいる。

 Quoraの質問に対しては、Googleの別のサービスなどとの競合を理由に「もっと早く終了すると考えていた」といった回答も投稿されている。

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