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見ている夢の内容、解読に成功 脳活動パターンから

» 2013年04月05日 14時22分 公開
[ITmedia]

 国際電気通信基礎技術研究所(ATR)は、睡眠中の人が見ている夢を脳活動パターンから解読することに成功したと発表した。脳活動の機能の解明や、脳活動でコンピュータなどを操作するブレインマシンインタフェースなどへの応用が期待できるとしている。成果は米科学誌「Science」オンライン版に掲載される。

 成功したのはATRATR脳情報研究所・神経情報学研究室の神谷之康室長らのグループ。3人の被験者が脳波計を装着してfMRI装置の中で眠り、脳波をモニター。夢を見ることと強い関連があることが知られている睡眠脳波のパターンが生じたタイミングで被験者を起こし、夢の内容を報告してもらった。夢の内容を記録し、再び被験者が眠り──ということを3人とも約200回ずつ繰り返し、夢の報告とそれに対応する脳活動データを大量に取得した。

photo 夢報告を取得する実験=ニュースリリースより

 夢の報告に現れた、物体や風景を表す単語を抽出し、言語データベースを使って解析。夢の報告文を「本」「車」など約20の物体カテゴリーの有無を表現するベクトルに変換した。

 また物体カテゴリーに対応する画像をWeb上の画像データベースから収集し、これを人が見た際の大脳視覚野の脳活動パターンを使い、物体と対応する脳活動を解読(デコード)するパターン認識アルゴリズム(デコーダー)を構築した。

photo デコーダーは睡眠中の脳活動から物体を判定し、スコアを返す。スコアの高いカテゴリーの夢を見ている可能性がある

 この結果、睡眠中の人の脳活動にデコーダーを適用することで、見ている夢に現れた物体を高精度に解読できたという。今後は夢の中の色や形などの特徴のほか、体の動きや感情など、より多様な夢内容を解読できるかどうか検証していく。

 研究で、脳活動の計測により夢の内容の解読が可能なことを初めて示すことができたとしている。夢を夢の報告は不定形で制御が難しいものだが、言語・画像データベースを使って定量的に扱えるようにしたことが特徴という。

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