ハフィントン・ポスト日本版オープン 読者参加による「ポジティブで良質な言論空間」へのチャレンジ
ニュースサイト「ザ・ハフィントン・ポスト」日本版が5月7日、オープンした。ブロガーによるブログ記事と編集部などによるニュース記事に加え、読者からのコメントを重視。誹謗中傷などは削除するなどし、寄稿者やユーザー間で建設的な議論が行われる「良質な言論空間」を目指していく。米国版創設者のアリアナ・ハフィントン氏は「対話に参加してほしい」と、コメント投稿などでコミュニティーに積極的に参加するよう、日本の読者に呼び掛けている。
米Huffington Postと朝日新聞社が共同で運営。まず政治、経済、国際、社会の4テーマをカバーし、ジャーナリストの佐々木俊尚さん、ジャーナリスト/メディアアクティビストの津田大介さん、起業家の堀江貴文さんら約70人のブロガーによる寄稿と編集部の独自記事、通信社の配信記事などを掲載する。
オープンした同サイトには早速、佐々木俊尚さんによる「ハフィントンの上陸は、日本のメディア空間を変えるか?」、映画監督の森達也さんによる「地下鉄サリン事件がテロだったと誰が断言できるのか?」といった寄稿や、「『育休3年』って誰のため?安倍首相の子育て支援策に批判噴出」といった編集部記事が掲載されている。
ポジティブな対話の場に
「サイトを見て、従来のニュースサイトとあまり変わらないという印象を持たれたのではないか」と松浦茂樹編集長は言う。「では何が違うのか。それはユーザーの声だ。従来のニュースサイトとは異なり、ユーザーによるポジティブな意見交換を目指している」という。
The Huffington Postは2005年5月、作家のアリアナ・ハフィントン氏が創設。ニュース記事と論説的なブログ、ソーシャルコメントが融合したニュースサイトとして成長し、米国では1月時点で月間4600万人が訪問。月間投稿件数は800万件と、ユーザーによるコメント投稿も活発に行われている。誹謗中傷など、規約に反するネガティブなコメントは人力を含めた手段を活用して削除しているのが特徴の1つだ。
日本版でも、コメントの投稿に当たってはガイドラインの順守を求めていく。ガイドラインによると、コメントは事前承認制とし、「直接であれ間接であれ他人を攻撃、中傷または侮辱することは容認しません。また議論の脱線、乗っ取りまたは相手が感情的に反応するよう仕掛けることも容認しません」とし、こうしたコメントは削除することを明記。また「コミュニティの各メンバーは、コミュニケーションのレベルを向上させるとともに、コミュニティの品位を落とすサイト荒らしをなくすことに協力する権限と責任があります」と参加者への協力も求めている。
コメント投稿を受け付けている日本のニュースサイトでは、誹謗中傷や差別的なコメントで埋まってしまうケースが多かった。松浦編集長は「日本のニュースサイトにはコメントはいらないのではないかと、絶望的な気持ちになったこともある」が、Huffington Postでは「ネガティブなコメントは淘汰され、前向きなコメントが残る。その仕組みに未来を感じた。日本版でも同じことができるのではないか。チャレンジすべきはこの点ではないかと考えた」という。
ジャーナリストの藤代裕之さんがYahoo!ニュース個人に公開した「ハフィントン・ポスト日本版は失敗する」という記事が公開されたが、「記事を読んだが、愛があふれる叱咤激励だった。改善すべき点はユーザーの声を聞き、次のステップに進めれば」と批判も歓迎。「ポジティブに日本の未来を語る場としてスタッフ一同盛り上げていきたい」と意気込み、特に団塊ジュニア世代からの発信を促していきたいという。
来日したアリアナ・ハフィントン氏は「日本の変革の瞬間を迎える時にハフィントン・ポストを公開できることをうれしく思う。みなさんの声を日本中から出して欲しい。コメントを歓迎する」と話し、「もっと対話を育みたい。米国の例を見ればそれができることは分かっている」と期待する。意見だけではなく、ユーザーそれぞれが生きている、それぞれの立場からの「自分の物語」を語ってほしいと呼び掛ける。「ブログを書く人に階層やヒエラルキーはない」
朝日新聞社の木村伊量社長は「紙の新聞は一方的な情報の供給者としての側面が強かった」とし、「ネットで言論空間を作る推進力に期待している。公平性、信頼性を兼ね備えた質の高いコンテンツと、読者の肉声の数々が言論空間を形作ると考えている」と、新聞的アプローチとは異なる、ネットとソーシャル時代ならではのニュースメディアに期待を寄せた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
グッスマ、顧客の2800人のカード番号全16桁+セキュリティコードなど流出か 下4桁は40万枚分
-
2
資さんうどん、従業員の退職理由などが外部から閲覧可能に 委託先の勤怠システムに設定不備
-
3
松屋の公式アプリとWebサイトが停止 不正アクセスを検知、モバイルオーダーや弁当予約も使えず
-
4
「PayPay連携の銀行から、お金全部盗られた」被害報告……原因と対策は? PayPayに聞いた
-
5
ベネフィット・ワンの委託先に不正アクセス セゾン会員向け優待サービスで約2.9万人分の個人情報漏えい
-
6
NEC、委託先の情報漏えいで謝罪 「セキュリティ事業を手掛ける企業として反省」
-
7
JALの予約システムに不正アクセス 約9万人分の予約情報が漏えい 一部ではパスポート番号も
-
8
VTuber「兎田ぺこら」グッズにSNSで風評被害→示談成立 「保護者同伴で謝罪などがあったため」
-
9
ギターの「形」は誰のもの? ヤマハにも警告、Fenderが“ストラト著作権”で仕掛けた知財攻勢
-
10
渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR