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Appleの元エンジニア、綱渡りだった初代iPhoneデビューを語るスティーブ・ジョブズ氏の命日によせて

» 2013年10月05日 08時26分 公開
[佐藤由紀子,ITmedia]

 10月5日は米Appleの共同創業者、スティーブ・ジョブズ氏の命日だ。米New York Timesは4日(現地時間)、iPhone立ち上げから2007年の初代iPhone発表デモまでの経緯をまとめた記事を掲載した

 この記事の筆者、フレッド・フォーゲルシュタイン氏のTwitterによると、11月12日に出版予定の「Dogfight: How Apple and Google Went to War and Started a Revolution」という著書からの抜粋のようだ。

 約6000ワードあるが、トニー・ファデル氏スコット・フォーストール氏、アンディ・グリノン氏など、元社員の語る当時のエピソードは一読の価値がある。

 特に、グリノン氏が語る2007年のMacworld Conference & Expo2007における初代iPhoneデモの裏話は手に汗握る展開だ。

 同氏は当時、iPhoneの通信関連を統括する上級マネジャーを務めており、デモの準備チームに参加した。だが、その段階のiPhoneはまだ動作が非常に不安定で、100回近く行ったリハーサルでは何かしら必ず問題が発生し、完ぺきなプレゼンテーションを目指すジョブズ氏は失敗のたびに担当者に「おまえはクビだ」あるいは「もし(本番で)失敗したらおまえのせいだ」とどなったという。

 本番では、ジョブズ氏は流れるような動作でiPhoneで電話をかけ、メールを送信し、Webサイトを表示させたが、実は各操作の順番によってはiPhoneがフリーズすることもあり、本番での操作の順序は試行錯誤の結果編み出されたものだったという。

 また、不安定なWi-Fi機能の接続のリスクを少しでも減らすために、AirPort(Apple製の無線ルータ)の周波数を米国では使えない日本のものに変え、参加者が会場に持ち込むWi-Fi対応端末からのアクセスを回避したとグリノン氏は語った。

 ご記憶のように、2007年1月9日のジョブズ氏によるiPhoneのデモは素晴らしいものだった。グリノン氏をはじめとするチームのメンバーは客席から進行を見守っていたが、グリノン氏は緊張に耐えるためにポケットにスコッチを忍ばせ、自分に責任があるパートが無事終了するたびに1ショットきめていたため、デモが終了したときにはすっかり酔っ払っていたという。

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