噂は本当だった。そしてそれは期待以上だった。
「2年半この日が来るのを待っていました」。静かに語り始めたジョブズ氏は、同社の“革命”の歴史――1984年に世に送り出したMacintoshでコンピュータ業界に革命を起こし、2001年のiPodで音楽産業に革命を起こした歴史を振り返った。「そして今日、3つの革命的な製品を紹介します」。
まず1つめはタッチコントロールに対応したワイド画面のiPod。2つめは革命的な携帯電話。そして3つめは飛躍的に進化したインターネットコミュニケーションデバイス。
会場は新製品登場の期待に包まれる。「iPod、携帯電話、インターネットコミュニケーションデバイス」とジョブズ氏。「そして、iPod、携帯電話、インターネットコミュニケーター」とジョブズ氏。そして、iPod、電話――くるくると回りながらスクリーンに映し出される3つのアイコンともにジョブズ氏は言葉を繰り返す。期待を煽るような演出に聴衆は笑い出すが、それは次第に拍手に変わっていく。もしかしてこれは……
「分かったかな? これは3つのデバイスじゃない――1つのデバイスだ」。ジョブズ氏が宣言すると拍手喝采がわき起こった。「わたしたちはそれを“iPhone”と呼ぶ。この日Appleは電話を再び発明する!」。
ちなみに“iPhone”はCisco Systemsが所有する商標だが、この問題は解決されたのだろうか。(追記:CiscoはAppleのiPhone登場にあわせて、登録商標の使用に関する合意の見通しがあるとコメントを発表。しかし翌日にはAppleを商標侵害で訴えた)
するとふいにジョブズ氏は、やや投げやりな調子で「これです」とスクリーンに注目を集めた。ついにiPhoneの外観が明らかにされる。スクリーンに映し出されたのは……
という冗談の後に同氏はMoto Q、BlackBerry、Palm Treo、Nokia E62といったスマートフォンが“スマート”でない理由を説明し(問題は本体の40%下にある、キーボードだ)、従来とは一線を画すiPhoneの革命的なユーザインタフェースを紹介した。iPhoneは“魔法のように動作する”マルチフィンガージェスチャーに対応したマルチタッチを採用する。
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