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医薬品ネット販売“再規制”に三木谷氏ら抗議 「“対面神話”は時代錯誤」 再び訴訟も(1/2 ページ)

» 2013年11月06日 20時09分 公開
[岡田有花,ITmedia]
画像 三木谷社長

 一般医薬品のネット販売をめぐり、一部の医薬品をネット販売を規制する方向で政府が最終調整に入ったことを受け、楽天の三木谷浩史社長が11月6日、規制に抗議する記者会見を開いた。

 ネット販売の安全性は対面販売より劣っているという判断に対して、「合理的な説明は不可能で、時代錯誤もはなはだしい」と痛烈に批判。このまま薬事法が改正された場合、産業競争力会議の民間委員を辞任し、国を相手取った行政訴訟の準備に入るとした。

劇薬など28品目はネット販売を規制へ

 医薬品ネット販売をめぐっては2009年、「楽天市場」に出店するケンコーコムとウェルネットが、ネット販売を規制する厚生労働省令の取り消しを求め提訴。13年1月、ネット販売を認めた二審判決を支持する最高裁判決が出て、事実上、全面的に解禁された。

 ただ、安全性を確保するために一定の規制が必要とする厚労省側と、全面解禁を求めるネット事業者との間で意見が対立。一般医薬品に転用されてから間もない「スイッチ直後」の23品目(発毛剤の「リアップX5」、解熱鎮痛剤の「ロキソニンS」、アレルギー用薬の「アレグラFX」など)と、副作用リスクが高い「劇薬」に分類されている5品目(勃起障害等改善薬の「ハンビロン」など)、計28品目の扱いが焦点になっていた。

 田村憲久厚労相は11月6日、スイッチ直後品については販売開始から原則3年後にネット販売を認め、劇薬のネット販売は認めないとする新ルールを発表。政府は薬事法改正案を今国会に提出し、成立を目指す方針だ。

最高裁判決出ても、「ゾンビのように復活」

画像 会見には三木谷社長のほかケンコーコムの後藤玄利社長(左)、中央大学法科大学院の安念潤司教授(中央左)、楽天の國重惇史副社長(右)が出席した

 「最高裁で違憲判決が出たのに、ゾンビのようにもう一度規制をかけるのは許せない。許しちゃいけない」――28品目のネット販売規制について、三木谷社長は憤る。

 「99%の医薬品のネット販売を認めてやったから1%はいいだろうという政治的判断だろうが、これを認めてしまっては、すべて今まで通りの古いやり方がいいと是認することになる。わたしは断固として戦っていきたい」

 ネット販売で対面販売よりも副作用リスクが上がったとするデータは存在せず、対面販売のほうがネットより安全性が高いとする厚労省などの主張は、「科学的根拠の一切ない対面神話」だと三木谷社長は批判する。

 ケンコーコムは、各医薬品の購入前に説明文を読めるようにしたり、購入時にアレルギーや妊娠の有無をチェックしない限り購入できないようにするなど事前の説明を徹底。薬剤師7人が勤める実店舗も持ち、購入者からメールや電話で相談を受けるなど、安全性の向上に努めてきた。

 また、ネット販売なら誰がどの医薬品を買ったかのトレーサビリティも確保でき、想定以上の副作用が出て薬品のリコールがあった場合にも回収がしやすいという。「これだけ安全に対して取り組んでいるのに、なぜダメなのか。それを教えていただきたい」と、ケンコーコムの後藤玄利社長は訴える。

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