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販売台数2けた減、PC需要は「近年になく落ち込み大きい」――“復活の処方箋”は?

» 2013年11月13日 18時17分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 「PC市場は近年になく落ち込みが大きい」「『PCだからこそできること』を改めてユーザーに訴求を」――BCNは11月13日、デジタル家電やパソコン関連商品の最新市場動向を発表した。スマートデバイスの普及に伴うPC市場の大幅な落ち込みを危惧し、“PC復活の処方箋”を提案している。

 全国大手家電量販店のPOSデータを集計した「BCNランキング」によると、PC(ノート、デスクトップ、タブレット端末を含む)の10月の販売台数は前年同月比12.2%減。7月の18.2%減と比較するとやや持ち直したが、2けた減の厳しい結果となった。製品の平均単価が上昇したことで販売金額ベースでは4.4%増となったものの、「台数ベースの減少は戻らず、ここまで危機感を感じる状況は初めて。近年になく落ち込みが大きい」と同社アナリストの道越一郎さんは警鐘を鳴らす。

photo PCの販売台数・金額の前年同月比推移

 同社はPC需要が落ち込んだ理由として(1)メールやWebサイトの閲覧をスマートフォンやタブレットが代替、(2)ソフトウェアをインストールする汎用機としてのPCの特徴が、アプリの入手経路がわかりやすいスマートデバイスと比較して失われ、“Microsoft Office専用機”となりつつある、(3)Windows 8を搭載したタッチパネル対応PCのラインナップ拡充の遅れ――などを挙げている。

photo メーカー別販売台数シェア(タブレット端末)

 ただ、PCからの流出先になっているタブレット市場もやや頭打ち傾向。販売台数は約1年にわたって前年同月比150%以上で推移してきたが、10月は118.9%にとどまった。メーカー別では「iPad」のAppleと「Nexus 7」のASUSが新製品が出るたびにシェアを逆転させ、それぞれ毎月の販売台数ベースで30〜50%前後を占める。3位の日本エイサーでさえ5%前後と、競合を突き放す2強の存在感が圧倒的だ。

 “PC復活のための処方箋”として挙げるのは(1)スマートデバイスと組み合わせて使う共生思想の訴求、(2)音楽、画像、映像などを使ったクリエイティブワークの裾野を広げる、(3)スマートフォンやタブレットでは難しい大量のデジタルデータ管理に活用、(4)アプリに慣れたユーザーに向け、各種ソフトウェアのラインナップや販路の充実――という4つだ。

 道越アナリストは「メールやWebブラウジングなどライトなコンピューティングだけでなく、PCを使ってより高度なことに取り組むユーザーを改めて増やしたい。スマートフォンやタブレットが身近になり、個人と情報の付き合い方は確実に密になっている。『PCだからこそできること』『PCとともにできること』を訴求していくことで市場は再度拡大すると期待している」としている。

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