宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月24日、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)が撮影した約300万枚の衛星画像を使い、世界中の起伏を再現した世界最高精度のデジタル3D地図を整備すると発表した。今年3月から整備を始め、2016年3月までに完成する予定だ。地図整備や自然災害の被害予測、水資源の調査などに活用できるとしている。
デジタル3D地図は、地表の3次元座標値(水平位置と高さ)が記録されたデータで、高さを示す「数値標高モデル」(Digital Elevation Model)と、水平位置を示す正射投影画像(上空から撮影された画像の地形に伴うゆがみを除去し、正しい位置情報が付与されたもの)の2種類のデータで構成される。
今回整備する3D地図の数値標高モデルには、「だいち」に搭載した、高分解能の3方向立体視が可能な光学センサー「PRISM」が取得した画像の中から雲が少ない約300万枚を活用し、世界で初めて5メートル解像度(正射投影画像は2.5メートル)と5メートルの高さ精度で世界中の陸地の起伏を表現した。
JAXAはこれまでも、技術実証を目的として、1カ月に100枚程度のデジタル3D地図を作成してきたが、全自動・大量処理の研究開発を行い、月15万枚程度を作成できる見通しが立ったという。同技術を活用して今年3月から3D地図の整備を開始し、2016年3月までに全世界の3D地図を完成させる予定だ。
データはNTTデータを通じて有償で一般公開する計画。また、3D地図データを一般に広く利用してもらうため、30メートル程度の低解像度での全世界標高データも整備し、無償で公開する予定。これにより、「日本発のデータが全世界のデジタル3D地図のベースマップとなることを期待している」という。
これまで全世界規模で整備された同様の数値標高モデルは、米国が2000年にスペースシャトルで観測したデータによる90メートル解像度のものと、米国と日本が共同で2000年から観測した衛星画像による30メートル解像度のものがあったという。
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