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LINE、国内外の固定/携帯電話への格安通話「LINE電話」開始 自作スタンプ販売も可能に

» 2014年02月26日 16時54分 公開
[山崎春奈,ITmedia]

 LINEは2月26日、無料通話/メッセージアプリ「LINE」に追加する新サービスとして、(1)国内外の固定/携帯電話と格安通話できる「LINE電話/LINE Call」、(2)企業公式アカウントの機能を拡充する「LINE ビジネスコネクト」、(3)自作スタンプの投稿・販売プラットフォーム「LINE Creators Market」の3つを発表した。春以降順次開始する。

photo 国内外問わず、非LINEユーザーと格安で通話できる「LINE電話/LINE Call」

 「LINE電話/LINE Call」は、LINEアプリ上から国内外の携帯電話/固定電話に発信できるIP電話サービス。これまでの無料通話と異なり、非LINEユーザーや一般企業・店舗にもかけられる。登録や初期設定は不要で、LINEユーザーであればすぐに利用可能。月額プランとチャージクレジット購入型から選択でき、料金は国内・固定電話へは1分2円〜、国内・携帯電話へは1分6.5円〜、国外へは1分2円〜。日本など世界6カ国で3月から始める。

photo シンプルな発信画面
photo 着信時にはアドレス帳に登録された名前と番号が表示される

 LINEのアプリ内からメニューを立ち上げ、通常の通話と同じように番号を入力して発信する。着信先には発信元の電話番号が表示される(ドコモ端末の場合「通知不可能」「非通知」に)。既存のアドレス帳のデータを利用できるほか、全国650万件を超える電話番号データベースに基づいたサジェスト機能も搭載。GPSと連動し、現在地に近いレストランや店舗を検索してそのまま予約の電話をかけることもできる。

公式企業アカウントにAPI提供「LINEビジネスコネクト」

 「LINEビジネスコネクト」は公式企業アカウント向けの新機能。メッセージ配信など各種機能をAPIで提供し、各企業の顧客データベースやユーザーデータと連携可能になる。これまで画一的なメッセージや情報の発信のみだったが、各ユーザーごとに最適化されたメッセージを送ったり、返信を含むその他アクションもできるようになる。例えば、商品を模したスタンプを利用したワンタップでの宅配ピザの注文、レンタルビデオ店からの返却日のリマインド、スマート家電と連動した会話形式でのリモート操作──といった利用を想定する。

 今春、テレビ番組と連動したパイロットプロジェクトを開始。企業公式アカウントを運用している企業を中心にケーススタディを作り、段階的に導入企業を拡大していく予定だ。

photo テレビ番組公式アカウントにメッセージを送るとコメントが流れるなどを想定
photo 想定利用シーンの例

 田端信太郎執行役員は「企業公式アカウントはこれまで100社以上に利用されており、効果の高いスマートフォンマーケティングツールとして好評を得ている。特にプッシュ通知は強力で、開封率が非常に高い。重要な情報をタイムリーに配信することで、より深く顧客との関係を築くことができる」と話す。

自作スタンプは売り上げの5割を還元

 個人・法人、プロ・アマを問わず自作のスタンプを登録/販売できるグローバルプラットフォーム「LINE Creators Market」も4月をめどに始める。

photo 「LINE Creators Market」のモデル図

 スタンプの登録は無料で、同社の審査を経て、1セット100円(40イラスト)で販売。売り上げの50%をクリエイターに配分する。有名キャラクターや企業とのコラボだけでなく、より多くのクリエイターに活躍の場を提供し、ユーザーのコミュニケーションを活性化する狙いだ。世界展開の推進に向けて、ユーザー参加型のローカライズも見込む。

年内5億人達成に向け順調

photo 出澤剛COO

 26日時点でユーザー数は3億7000万人。昨年11月の3億ユーザー突破の際に掲げた「14年内に5億ユーザー」の目標は達成できるペースだ。出澤剛COOは、今後のグローバル戦略について「メッセージアプリの競争は激しく、業界全体が大きく動いているのは確か。FacebookによるWhatsApp買収が発表された後、欧米でのLINEのインストール数は大きく伸びるなど、ピンチはチャンスという側面がある。世界に通用する製品を着実に作っていきたい」と話す。


photo 舛田淳執行役員

 舛田淳執行役員は「他サービスとの差別化ありきで新機能や新サービスを追加しているわけではない。ユーザーの声や要望を参考に、無料利用の先にビジネスモデルを描けるものを追求している。現状は6割がゲームからの収益となっているが、これからさらに提供していく商品が増えるとまた変わっていくはずで、エコシステム全体で捉えていく。あるべき収益構造の理想はなく、強いて言えば1つのビジネスモデルに依存しないこと。それが強いサービス、企業を作る基礎」と、今後も音楽、EC関連の新サービスを追加していくことを明言した。

 上場の可能性については「今後の方向としてあらゆる手段を検討しており、その中の1つ」(出澤COO)とコメントするにとどまった。一部報道のあったソフトバンクによるLINEの株式取得に関しては「ないです」(出澤COO)と手短に答えた。

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