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小保方氏の実験ノート、8カ月で4ページ 画像切り貼り、「Science」からも指摘 理研「再調査なし」の理由(3/4 ページ)

» 2014年05月08日 22時39分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「テラトーマの写真がどこを見ても見つからなかった」「いつ間違えたかも分からない」など小保方氏の発言を引用し、データ管理の手法も強く批判。複数の画像をまとめて掲載したPowerPointを上書きしながらFigureを作り続けていたこと、各画像に由来を示す説明がついていなかったことも挙げ、「まとめて編集したデータをそのまま使用する危険性を全く無視したものであると言わざるを得ない」と指摘する。

 また、「論文1の投稿時期は多忙で、差し替えを忘れた」とする小保方氏側の主張に対しては、投稿から採択まで9カ月あまりあったこと、同旨の論文を12年にNature、Cell、Scienceに投稿していたことなどをあげ、「差し替えを行う機会は十分にあり、投稿時の特殊な事情は考慮する範疇にない」とする。

 学位論文の画像は、小保方氏本人が「チャンピオンデータ(頻度は低いながらも非常にうまくいった実験データ)」と称しており、小保方氏の記憶にも強く残るデータと思われることからも、「異なる実験のデータである可能性を認識しながら使用したものと判断せざるを得ない」と指摘している。

実験ノート、8カ月でわずか4ページ

 画像の取り違えは小保方氏自らが気づいたとしており、12年1月に取り出し、6月に染色・撮影したという真正のテラトーマ画像「画像B」が存在すると主張している。だが、その根拠となる実験ノートの記述が、きわめてあいまいだったという。

 画像Bについての記述があるという75ページには日付がなく、73ページに「6/28」、76ページに「2/29」または「2/19」(いずれか判読不能)、81ページに「10月」と記載があるのみ(いずれも年の記載なし)。75ページには、日付の記載がなかっただけでなく、このテラトーマがどんな細胞と方法で作製されたかも記載されていないという。

 通常はテラトーマを取り出してからすぐに免疫染色などの解析を行うが、小保方氏は1月に取り出してから半年後の6月に免疫染色解析を行ったと説明しており、調査委は「違和感を感じざるを得ない」と指摘。さらに、画像Bを撮影した後に提出したCellやScienceの論文に画像Bを使用しなかったことは、「なおさら理解しがたい」としている。

実験ノートの追加提出や診断書の提出なし

 小保方氏は一連の不正について、「説明の機会が不十分だった」とも主張しているが、調査委は、小保方氏の会見後、追加の実験ノートの提出を求めたり、数日後にヒアリングを行う準備があることを伝えるなど、十分な説明の機会を与えたという。

 だが、小保方氏側は実験ノートや追加の資料を提出せず、ヒアリングには「体調からして1週間程度の猶予が必要。必要なら医師の診断書を提出する」などと応じなかった。診断書の提出もなかったという。

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