TPP(環太平洋パートナーシップ協定)や児童ポルノ法の改定などをめぐり、表現規制の在り方が盛んに議論されている昨今。片桐さんは「どちらがいいかと言われたら緩い方がいいだろうが、規制があることで生まれるクリエイティビティーもある」というスタンスだという。
「例えばアダルトビデオはモザイクをかけるからこそのエロさがあるわけで、全部おおっぴらにすればもっとエロくなるわけではない。制限を前提に作るから、見せ方や撮り方、表現が変わってきて、そこにオリジナリティーが生まれる。規制が強くなったからといって作る人が減ることはありえない、人の創作意欲はそういうものじゃない。仮に新しいルールができたとして、そこから生まれる新しい表現や方法はそれはそれで楽しみ」(片桐さん)
村上隆さんが率いるカイカイキキとの共同ギャラリー「pixiv Zingaro」でアニメやゲームとコラボした企画展を多数開催するなど、出版社をはじめとしたコンテンツホルダーとも連携。プロのクリエイターを産む上で、2次創作を含む同人市場の存在感が大きい現状を踏まえ、「コミケ等がこれまで担ってきた役割の一部を担いながら」連携してよい形で盛り上げていければ――と展望を話す。
目指す理想は「クリエイターがpixivだけで食べていける」状態。昨年リリースした物販サービス「BOOTH」はそのヒントの1つで、昔から考えていた機能の1つだという。
「音楽も動画も3Dデータも面白そう、広げたい構想はいろいろあるんですけどね」としつつ、新たな目標や戦略を固く定めるのではなく、ユーザーに求められているものを柔軟に取り入れながら、目の前の課題に粛々と対処していく姿勢だ。
「僕は特に好きなものや趣味があるわけではなく、人気があるものに興味がある。会社は『好きなことだけやれていれば幸せ』という発想だとただの趣味になってしまうし、ビジネスでやる以上『売れてないものはだめ』という気持ちでいたい。人気のあるものを作り続ける、新しいものに挑戦する、もっと多くの人に届ける――それがpixivという“チーム”の挑戦」(片桐社長)
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