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「論文のSTAP細胞、なかったことはほぼ確実」と調査委 小保方氏、実験データほとんど提出せず(1/4 ページ)

» 2014年12月26日 16時34分 公開
[岡田有花,ITmedia]

 「論文に載ったSTAP細胞がなかったことは、科学的検証からはほぼ確実と言って構わないと思う」――「STAP細胞」論文について調査していた、理化学研究所の調査委員会で委員長を務めた桂勲氏(国立遺伝学研究所長)は12月26日、調査結果を説明する記者会見でこう述べた。

画像 調査委員会委員長の桂勲氏(国立遺伝学研究所長)

 調査委は、英科学誌「Nature」に掲載され、その後撤回された「STAP細胞」論文を検証するため、論文著者の小保方晴子氏の実験室などに残されていたSTAP細胞株や、STAP細胞から作ったとするマウスのテラトーマ(奇形種)の遺伝子などを解析。その結果、すべてが既存のES細胞に由来するか、ES細胞由来の可能性が高いと判断した。

 ES細胞を誰が混入したのか、混入が意図的か過失だったかは「決定できない」としている。ES細胞を混入できた可能性がある関係者に聞き取りを行ったが、全員が否認。論文著者の小保方晴子氏も「わたしがESの混入をさせたことは絶対ありません」と強く否定したという。

 また、論文に記載されたデータのねつ造・改ざんなど研究不正の疑惑についても改めて調査し、新たに2点を研究不正と認定した。ただ、調査委が求めた実験データを小保方氏がほとんど提出しなかったため、元データを改ざんしたりねつ造したかを判断できず、「不正の証拠がない」と結論付けた疑義も多数あった。

 報告書では、ずさんなデータ管理や実験の初歩的な間違いなど小保方氏の責任を指摘した上で、小保方氏の過失を見逃した共同研究者の若山照彦 山梨大学教授と故・笹井芳樹氏の責任を改めて指摘。「(共同研究者による)追及の甘さは、論文発表を焦ったからではないか。特許や研究費獲得や著名雑誌への論文掲載は本来、悪いものではないが、それに夢中になるあまり、研究の中身への注意がおろそかになったことはないだろうか」と指摘している。

4カ月にわたって調査 小保方氏には3回聞き取り

 同論文に関する最初の調査委員会は2月に設置され、多数指摘されていた疑義のうち6点を調査、うち2点を研究不正と認定し、3月末に最終報告書を発表していた。だが、4月以降指摘された疑義や、残っているSTAP細胞株についても調査すべきとの声が上がり、理研は外部の研究者や弁護士7人による調査委を9月に設置。9月22日〜12月23日にかけて調査を行った。

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