――外から見ていると、スクーはビジネス、gaccoはアカデミック寄りの印象があります。
伊能:そうですね、gaccoの講座は多くが東京大学、慶應義塾大学をはじめとした大学の先生によるもので、普段学生に向けて行っている授業をアレンジしているケースが多いです。
統計学や会計など実学に近い領域の講座も人気がありますが、意外に人気があるのは歴史や俳句などの教養系ですね。老若男女問わず幅広く集まり、熱心な受講者が多いです。
森:スクーも当初は政治や数学など広く扱っていたのですが、ユーザーニーズと事業リソースの集中を考えて、ある時期からWeb/IT領域を中心としたビジネススキルにフォーカスしました。学んだ知識を実際の業務に役立てること、キャリアアップにつなげることが大きな目的ですね。
学んだ先のゴールが見えるように、カリキュラムという形で講座をまとめ、体系的なコースとして提案しているのが特徴です。「PHPエンジニア入門」「Webデザイナー初級」など、レベルに合わせて順を追って学べる仕組みを整えています。
――ユーザー層は。
森:schooは年代で言うと、20〜30代で全体の約7割を占め、平均年齢は34歳です。「自分の仕事に関する知識を改めて基礎から」「周辺領域の理解を深めるために」「子育ての合間に新しいことに挑戦」など使われ方はさまざまです。
伊能:gaccoは全体的に年齢は上がりますね。ボリュームゾーンは30〜40代で、シニア層も多いですよ。シニアの方は修了率が高いです。
PCやスマートフォンを普段から使いこなしているわけではない、むしろ受講を機に本格的にネットにチャレンジするような人も多い印象です。サービスではなく、PCやネット接続に関する質問がサポートに来ることも。そのハードルを乗り越えてまで「やりたい」と一歩踏み出してくれることがありがたいですよね。
――メインのビジネスモデルも異なりますよね。
森:スクーは収益の9割が月額980円のプレミアム会員費です。今年4月に、月額525円から月額980円への価格改定に踏み切りましたが、今のところ成功と言えると思います。継続利用が多いのが強みなので、このあたりがどう変わるかはこれから注視していくところです。
伊能:gaccoはまだまだマネタイズできていないのですが、学校教育や企業研修の現場に取り入れてもらうBtoBモデルを強化していきたいと思ってます。官公庁や組織からお金をいただいて、講座自体の作成・開設・運営でお金をいただいているケースもあります。gaccoにコンテンツを掲載し、広報やPRの場として利用いただいているイメージですね。
有料会員モデルも検討していきたいですが、受講自体を有料にするつもりは今のところありません。現在は、実際に講師と対面して行う講座「対面学習」付き講座の参加にはオプション料金を設けています。
――ひとまとめに「動画学習」と言っても異なる点も多いですね。逆に、共通の悩みや課題は。
伊能:森さんの言葉にもありましたが、やはり「いかに続けてもらうか」ではないでしょうか。
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