しんかい6500、クジラの遺骸から新種の深海生物41種を発見 「飛び石仮説」解明に一歩
海洋研究開発機構(JAMSTEC)の研究グループが、2013年に有人潜水調査船「しんかい6500」がブラジル沖の深海で発見したクジラの遺骸に、少なくとも41種類の生物がすんでいることを確認した。ほとんどが新種である可能性が高いという。
2013年にサンパウロ大学などと共同で、ブラジル沖サンパウロ海嶺の水深4204メートルの海底を調査し、クロミンククジラの遺骸に群がる生物群を発見した。分析した結果、ゴカイやコシオリエビ、巻貝、ホネクイハナムシなど41種類以上が生息し、形態・遺伝子レベルの検査を進めたところ、ほとんどが新種と判明したという。
「飛び石仮説」解明のヒントに
光が届かない深海の熱水域や湧水域には「化学合成微生物」が生息し、太陽エネルギーではなく、地球内部から噴き出す硫化水素やメタン、水素などから有機物を合成している。二枚貝や巻貝、チューブワーム、コシオリエビなどは、こうした微生物と共生し、有機物を利用することで「化学合成生態系」を築いている。
一方、不規則に海底に沈むクジラやイルカなど大型海棲哺乳類の遺骸も、分解時に硫化水素が発生。熱水域、湧水域と似た生態系の「鯨骨生物群集」を周囲に形成する。
熱水や湧水という局所的な環境に生息する化学合成生物群集は、それぞれが数百~数千キロ単位で離れていても構成種が似ていることから、鯨骨が“飛び石”となり、より広い海域に分散する足掛かりになっている――という「飛び石仮説」が提唱されていた。
今回南大西洋で初となる有人潜水船調査で新たに発見した生物群は、北東太平洋カリフォルニア沖で見つかった別の生物群との類似点が多く、「(飛び石仮説の)全球的な広がりを強く支持するもの」だという。
研究グループは今後、実験的にクジラの遺骸をさまざまな海域に設置し、遺骸が「飛び石」となるまでの成立過程や、生物の類似性の検討を進める。深海調査が遅れている南半球での潜航調査も増やし、分散と進化のメカニズムを明らかにすることで、「謎に満ちた化学合成生物群集の全貌を解明していく」としている。
成果は、科学誌「Scientific Reports」に2月24日付け(日本時間)で掲載された。
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