Googleのインフラ担当副社長であるエリック・ブリュワー氏が、クラウドベースのデータセンターに向いたハードディスクドライブについて述べている(英語版・抄訳)。この中でブリュワー氏は、ローマの戦車の幅が現代の鉄道線路の幅になっている(と言われる)例を挙げて、PCに3.5インチフロッピーディスクドライブ(FDD)が搭載されていた時代の名残りから、現在の3.5インチハードディスクドライブ(HDD)ユニットがFDDと同じサイズに決められていることを指摘している。
かつてはデスクトップPCの3.5インチベイに収められていたメインストレージが、いまはクラウドベースのデータセンターにあるのだから、FDDのサイズにとらわれる必要はない、としている。
そして具体的に、信頼性を保ったまま容量や速度を上げつつ全体のコストを抑えるためには、もっと厚みのあるドライブが必要だと論じている。1つのHDDユニットの厚みが倍になれば、内部のプラッタの数は倍以上にできる。そうなれば容量もI/O速度も倍以上になる。
ブリュワー氏は2016 USENIX conference on File and Storage Technologies (FAST 2016)の基調講演で同じ提案をしており、学会やHDDメーカーといった業界関係者にもこのアイデアは伝わっている。サーバ向けの製品で実現した場合、エンドユーザー向けの製品にも反映されるだろう。HDDユニットが厚型化しても、サーバマシンやデスクトップPCのケースにネジ穴を増やすか、場合によってはそれすら必要なく1つおきに取り付けるだけなので、移行は早く進むだろう。
HDDのコストはここ数年、ほとんど下がっていない。革新的な変化がないかぎり、いずれSSDに追い抜かれるかもしれないという予測もある。しかし、厚みを倍にするという単純な発想の転換で、HDDの寿命はもう少し延びる可能性がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR