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“PV至上主義”から“エンゲージメント”へ――LINE、ニュース事業を強化 公式アカウントで媒体のファン作り

» 2016年03月17日 17時45分 公開
[山崎春奈ITmedia]

 LINEは3月17日、媒体が公式アカウントから直接ニュースを配信する「LINE アカウントメディアプラットフォーム」の開始3カ月のユーザー行動の分析と今後の施策を発表した。読者1人あたりの訪問回数が多く、頻度も高い“エンゲージメント”の強さを武器に、ポータルサイト配信や他のSNSとの差別化を狙う。

photo LINE公式アカウントで各メディアが記事を配信。「ダイジェスト」としてまとまって送られてくる

 外部メディアにLINE公式アカウントを通じたニュース配信機能を開放する「LINE アカウントメディアプラットフォーム」は、昨年12月に朝日新聞デジタル、毎日新聞、産経ニュース、時事通信ニュース、テレビ朝日など24メディアでスタートした。ポータルサービス「LINE NEWS」と異なり、メディアそれぞれが自社媒体の記事をパッケージし、「ダイジェスト」として1日2回(昼/夜)や週に数回など一定の頻度で配信する仕組みだ。

 現在までに自社メディア4社を含む38メディアに拡大し、累計読者は1000万人、記事への総訪問回数は1.4億を超えたという。

 「LINEアカウントメディアの強みは、読者の“エンゲージメント”にフォーカスできること」――島村武志上級執行役員は、TwitterやFacebookなど他のソーシャルメディアを介したニュース配信との差異をそう話す。

 自社メディアで比較した時の実際の配信結果を見ると、TwitterやFacebookはアカウントのフォロワー数を超えてリーチする拡散力がある一方、1人当たりのセッション数や再訪率は比較的低い。アカウントメディアの場合は、性質上「友だち」登録していないユーザーに直接配信できないが、1人当たりのセッション数や再訪数は高くなっている。

 全体で見ると、月に50回(1日2回)以上訪問するユーザーが約31%、月30回(1日1回)以上は約56%――と、継続して購読する“エンゲージメント”の高さを表す結果が出ているという。

記事単体ではなく、媒体名でファンを作る

 新たな施策として22日には、閲覧したニュースの傾向やLINE関連サービスの利用履歴に基いて属性・関心に最適化した記事を配信する「FOR YOU」をLINE NEWSトップページに設置する。

 4月1日にはタイムラインの最上部にもニュース枠を新設。上半期中には「FOR YOU」と連携し、ニュースの閲覧やアカウントメディアの購読登録を促進していく。

ohoto 「FOR YOU」、タイムラインへのニュース枠でさらに接点を増やす

 各アカウントの集客対策支援としては、友だち登録をすることで記事全文を読める「友だち限定記事」機能を追加。これまでの実績では、1記事で購読者が2万人増えた例もあるという。

 媒体社向けには「ニュースエンゲージメントランク」を導入し、ユーザー属性やアクセスをより詳しく分析できるツールを提供する。6月に導入を予定するレベニューシェアでは、デフォルトで広告収益の50%を分配するとしているが、読者満足度に応じてレートをプラスする施策を検討する。

 参加メディアは拡大しており、22日に東京新聞、神奈川新聞、北海道新聞、ぐるなびNEWSなど、地方紙や専門媒体など22メディアが新たに登場し、全60媒体で展開する。ユーザーのニーズにマッチしたニュース配信を行うべく、さらに増やしていきたい考えを示した。

 「スタート前から確信はあったが、実際に3カ月運用して、ポータルサイトと異なる価値を媒体側にもユーザーにも感じてもらえていると思う。とにかく記事単位でPV(ページビュー)や拡散を追い求めるのではなく、媒体自体の色を出してファンを作り、読者の満足度を高める視点を持つための一助になれば」(島村上級執行役員)

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