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「つまらないロボットが好き」――MAKERS著者、クリス・アンダーソン氏が語るロボット像

» 2016年04月08日 09時06分 公開
[太田智美ITmedia]

 「つまらないロボットが大好き」――。

 “メイカームーブメント”の火付け役となった「MAKERS―21世紀の産業革命が始まる」の著者であり、現在3D RoboticsのCEOを務めるクリス・アンダーソン氏は、独特なロボット像を持つ。ロボットの存在を意識しなくていい、「つまらないロボット」が好きだという。どういうことか。


クリス・アンダーソン「ロボット」

 アンダーソン氏が「ロボット」と表現するものには、食器洗い機やドローン、監視カメラ、クルマまで含まれる。昨今、日本で「ロボット」と聞くと人型ロボットや産業ロボットなどをイメージする人も多いが、アンダーソン氏は違う。家にあるあらゆるものを「ロボット」と呼び、私たちはすでにロボットと生活を共にしていると主張する。

 「つまらないロボットは良いロボットである」(アンダーソン氏)――普段は人に興味を持たれないほどひっそりと、いざという時には役に立つ。例えば監視カメラはそんな最も良いロボットの好例だという。監視カメラはまさに、人が必要とする時まで意識されない「つまらないロボット」というわけだ。

 実はアンダーソン氏の祖父は、タイマー付き自動スプリンクラーの発明者。それはアンダーソン氏にとって、複雑な通信やセンサーなどを一切使わず動く「ロボット」だった。

 「今、シリコンバレーはさまざまなロボットであふれている。3Dプリンタはもちろん、DNA解析機などもある。だから、今の子どもたちは(大人がロボットと聞いて思い描くような)腕や車輪が付いているものをエキサイティングだと思わない。私たちは意識していないだけで、すでに何体ものロボットと暮らしている」(アンダーソン氏)

太田智美

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