ITmedia NEWS >

妻の実家でOmoidoriした空白の18年と失われた色立ちどまるよふりむくよ(1/3 ページ)

» 2016年07月15日 06時43分 公開
[松尾公也ITmedia]

 「妻の実家に3年ぶりに行って、子どもの頃のアルバムをスキャンしようか」という、連載第1回の予告を実現してきた。妻の命日に家に来た義母にOmoidoriを見せて、まだ見ていないアルバムがあったら撮影させてほしいとお願いした。

 3年前、義母がアルバムを1つ持ってきてくれて、それをScanSnapの古いモデルでスキャンしたものが結構な枚数あって、それらの写真を修復したり、カラー化したりしていた。妻が実家から持ち出した写真はOmoidoriであらかたスキャンし直した。

捨てようと思ってたのよ

 義母によれば、場所は探さないとわからないけど、古いアルバムが何冊もあるという。さっそく、妻の実家のある志木市に飛んだ。いや、たいした距離じゃない。実際にはバスと電車を乗り継いで1時間ちょいで行ける。

 ただ、心理的な距離は相当遠いので、孫を手土産に訪問することにした。ぼくの作業が終わった頃に、息子と入れ替わる算段で。妻と一緒でない義実家訪問は記憶にある限り、初である。

 これから、ぼくと妻が出会うまでの、空白の18年間を見せてもらうのだと考えるとちょっと緊張する。

 義実家に到着すると、古いアルバムから比較的新しめのものまで、4冊がテーブルの上に置かれていた。「ほかにも探せばあると思うんだけど」と義母。

 「ちょうど捨てようと思ってたのよ」

 そんな恐ろしいことを言う。急がねば。

photo 4冊のアルバムをOmoidoriでスキャン
photo アルバムにOmoidoriを乗せてスキャン

 一番大きなアルバムは、義父が撮影し、コメントをつけた写真が収録されていた。最初のページは妻の出生証明書。日本赤十字社産院で、1963年1月16日の午後10時に生まれたとある。時間は初めて知った。次の誕生日からは夜にキャンドルをつけナイト。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.