――AIが世の中で話題になっている今は、産業用ロボットが入ってきた80年代ごろと似た感覚があるかもしれません。
当時は仕事を奪われると言っていたけど、今はもっと深刻で、人間そのものの知能を奪われる危機感に陥っていると思います。
――AIが囲碁や将棋でプロに勝ち、話題になっています。
それは全然面白くないです。興味ないですね。コンピュータが先を読むというだけの話だから。何手も何手も先の可能性をどーっと計算して、答えを出しているだけのことなので。そこから変なものが生まれてきているというわけじゃないので。
――人間をコンピュータが上回ると言われていますが。
結局は、人間は人間を作るというところに行っているだけの話で。その途中の段階だと、囲碁で人間に勝つとか、人間の知能に代わるいろんな出来事を予測するとかあるけど、とどのつまりは人間が人間を作ろうとしているだけの話です。途中の細かい部分の進化を確かめていると、驚きになってしまうが、そんなこと言ったって、人工が生きている生物に勝てるわけはないです。
飛行機だって鳥のまねをしたり、船だって魚のまねをしたりとか、どれもみんな生物のまねから始まっていて、人工知能も人間のまねをしているだけなんで、そこは人間よりさらに素早く複雑なことをやるだろうけど、それが人間になるわけじゃありませんので。
どこかでそれを人間にしちゃおうとか、人間の見えない方向の目的……気づいてないけれど、人間は人間を作ろうとしている、その途中の段階で、細かく分けるとそんなことが起きているんだと思います。そうじゃないと、人間の進化は、どのように次の段階に行くんだろうと。
進化の途中の段階ってあまり分かっていないらしくて、進化するときは一斉にぱっとするらしいですね。脳なんかは、ちょっと増えるというんじゃなくて、進化したら倍になると言うんですよね。いきなり脳が倍になったらどうします? 寝るとき枕どうしようと(笑)。
そういうことも含めて、次の段階、人間がどのように一段上るかということを考えなければならないところにきているから、注目されちゃうんじゃないでしょうかね。科学によって人が奴隷化されてしまうとか言われるけど、人間だって、脳みそが倍になればそんなのには負けないと思う。
――AIやロボットを開発することで、人間が人間自身を進化させようとしている、と。
そうですね。人間は本能の底では、進化しようと一生懸命あがいていると思う。あがかずにのんべんだらりとしていたら、イソギンチャクになっちゃう。イソギンチャクは、口を開けて待っているとエサがやってきて、それを食べれば生きていけるので、何億年たっても進化しないらしいんだけど。人間も何億年かけて進化する中で、どこかで追い詰められたのがあるんでしょうね。
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