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NHKスペシャル「STAP細胞」番組に「人権侵害あった」、BPOが小保方氏の主張認める

» 2017年02月10日 19時18分 公開
[ITmedia]
photo 小保方晴子氏(14年4月の記者会見時)

 放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送人権委員会は2月10日、STAP細胞問題を取り上げた2014年7月放送の「NHKスペシャル」について、「名誉毀損の人権侵害が認められる」と勧告した。理化学研究所の元研究員の小保方晴子氏が申し立てた内容の一部を認め、NHKに対し再発防止に努めるよう求めている。

 問題の番組は、14年7月27日に「NHKスペシャル」内の特集「調査報告 STAP細胞 不正の深層」。STAP細胞問題について、実験ノートの内容や小保方氏と笹井芳樹氏(故人)の電子メールなどを取り上げながら特集した。

 しかし、放送後に小保方氏が、番組が人権侵害に当たると申立書を提出。「小保方氏がES細胞を『盗み』、それを混入させた細胞を使って実験していたという断定的なイメージで作られたもので、大きな人権侵害があった」と訴えた。これに対し、NHKは「『STAP細胞はあるのか』という疑問に対し、客観的な事実を積み上げ、表現にも配慮しながら制作したもので、人権を侵害していない」と反論していた(関連記事)。

 申し立てを受け、放送人権委員会が15年8月から同番組の審理をスタート。最終的に「名誉毀損の人権侵害が認められる」と結論付けた。放送内容に編集上の問題があり、単なるES細胞の混入疑惑の指摘にとどまらず、小保方氏が不正にES細胞を入手し、意図的に混入してSTAP細胞を作製した――と、一般視聴者が受け取る番組内容になっているという。

 一方、小保方氏と笹井氏の電子メールを放送したことは、「科学報道番組としての品位を欠く表現方法」としながらも、メール内容の秘匿性は高くないとし、プライバシーの侵害には当たらないとした。

 その他、「ナレーションや演出が小保方氏に不正があると強調するものになっていないか」「未公表の実験ノートを公表するのは許されないのではないか」などの訴えについても「人権侵害や放送倫理上の問題があったとは言えない」としている。

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