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“Kindle読み放題”で950万円稼いだ同人サークル、読み放題から撤退 作品いきなり削除に「不安」

» 2017年02月14日 16時59分 公開
[ITmedia]

 Amazon.co.jpの読み放題サービス「Kindle Unlimited」でアダルト漫画を販売してきた同人サークル「IronSuger」が、同サービスから撤退すると発表した。昨年8月から12月の6カ月で950万円稼いだが、2月になって突然、一部の作品が削除され、問い合わせても納得のいく説明がないことなどに不信感を募らせたという。

画像 IronSugerのブログより

 Kindle Unlimitedは、出版社や個人作家が提供する電子書籍が月額980円(税込)で読み放題になるサービスで、日本版は昨年8月3日にスタートした。個人作家はKindleの自費出版サービス「Kindleダイレクト・パブリッシング」(KDP)に登録すれば参加でき、多額の報酬を得る作家も出ていた。

 IronSugerはサービス開始当初から、KDPを通じてアダルト漫画7作品をKindle Unlimitedに配信。8月から12月の5カ月間だけで950万円の報酬を受け取り、他の販売サイトと合わせると、年収が2300万円前後にアップしたという。

 だが、今年2月になって突然、配信中のはずの2作品がKindleの販売ページから消滅。管理画面では「販売中」になっているのに、作品ページにアクセスすると404エラーが出るようになったという。

 Amazonのサポートに理由を問い合わせたところ、「公開されています」とのメールが返ってきたが、実際には公開されていないため再度問い合わせると、「コンテンツガイドラインを侵害しているため販売できない」との返事が届いたという。

 IronSugerは「去年にガイドライン通過し、ずっと公開しているのに今更ダメとは、Amazonの裁量は自由すぎる」と憤り、「累計1000万円も稼いでいた販路で、曖昧な理由からこんなにあっけなく出版停止されてしまってガッカリ感がハンパない」と落胆。サポートの「ガイドライン違反」という説明にも納得しておらず、十分なサポートが受けられないことにも不安を募らせた。

 「不安定な販路を主体にすることはリスクでしかない」と考え、KDPからの撤退を決めたという。今後は取次会社を経由し、Kindleだけでなく、すべての電子書籍サイトに作品を配信するとしている。

 Kindle UnlimitedをめぐってAmazonは、出版社ともトラブルになっている。Amazonは、年内は上乗せ料金を支払う契約で一部の出版社に対して書籍提供を促したが、利用が想定を上回り予算を超えたため、契約条件の変更を出版社に対して要求。それを拒否した講談社などの一部出版社の作品を一方的に読み放題から外し、講談社が抗議していた。

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