米Twitterは先日、2016年第4四半期(10〜12月)の決算を発表した。赤字が大幅拡大したさなか(関連記事)、2月14日(現地時間)にはジャック・ドーシー(Jack Dorsey)CEOが「LoveTwitter」のハッシュタグを添えて、700万ドル(約8億円)の自社株買い戻しを発表するなど、その動向に大きな注目が集まっている。
Twitter社では1月末、各国のTwitterのシニアマネジメントメンバー約100人が集められたという。そこでは現在Twitterが抱える問題点、2017年の方向性など、2日間かけて話し合われたそうだ。「今、Twitterでは何が起きているのか」「日本での現状は?」――日本法人代表の笹本裕さんに話を聞いた。
「ひとことで言うと、原点回帰。もともとのTwitterの価値である『世の中で何か起きた時、最も早く発信していく』という原点に立ち返る」(笹本さん)
Twitterの収益モデルは広告事業がメイン。そのため、利用者が増えなければ広告を打つ機会も増えず、収益にダイレクトに響くという。
ところが、昨今の調査によれば「ユーザー離れ」が目立ち、月間アクティブユーザー数(MAU)は3億1900万人(2016年第4四半期時点)で、前期比わずか4%増と伸び悩んでいる。その原因を調べてみると、欧米では「使い方がよく分からない」「Facebookと何が違うの?」といった意見があるという。一方、匿名ユーザーが多い日本では一定の地位を確立しつつも「ツイートすることがない」などの理由で離れることがあるとのことだ。
「『モーメント』の導入など新機能も追加しているが、新しい取り組みが多く、使い方がよく分からないといった声が欧米を中心に増えてしまった。機能を欲張りすぎた結果、Twitter本来の価値である『世の中で起きたことを最も早く発信する』という部分に集中できてなかった」(笹本さん)
Twitterは調査データから、一度アカウントを作ったものの使わなくなる利用者が多くなってしまったのが業績不振の大きな要因だと考えている。その上で、日本ではどんな取り組みをしていくのか。笹本さんは次のように話す。
「2017年、Twitterがフォーカスするのは『安全性の担保』『コアプロダクトの強化』『財政基盤の強化』。日本はサービス的にも経済的にもスケールできる国だ。一方で、サービスへの熱が下がってしまうのも、とても早い。だからこそ、今年は利益が出ないと元も子もない。そこに相当アクセルを注ぎたい。昔の機能を戻すのか、新しい機能を追加するのか分からない。だが、何もしなければ日本におけるTwitterの未来はない。だから、それらを具現化できる1年にし、そのモデルを韓国や東南アジアへも転用していきたいと考えている」
「Twitterが生きるか死ぬかは、2017年に掛けられている」――危機感を抱きながらも、その強い決意が伝わってきた。
(太田智美)
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