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“夢の炭素分子”「カーボンナノベルト」合成 名古屋大が世界初

» 2017年04月14日 14時21分 公開
[ITmedia]
photo カーボンナノベルト

 名古屋大学4月14日、6個の炭素原子がつながった正六角形の構造をベルト状にした「カーボンナノベルト」の合成に、世界で初めて成功したと発表した。技術を応用すれば、軽くて丈夫な素材「カーボンナノチューブ」を自由なサイズで生成できる可能性があるという。

 カーボンナノベルトは、約60年前に初めて存在が提唱された物質。炭素原子の正六角形構造(ベンゼン環)が、筒状に曲がってつながっている。だが、ベンゼン環は平面構造が最も安定するため、筒状だと大きなひずみが生じており、合成が難しく「夢の筒状炭素分子」と言われていた。

 研究グループは、ベンゼン環に臭素が結合したパーツを複数作り、それぞれ組み合わせた後、臭素を炭素に置き換えることで、カーボンナノベルトの合成に成功したという。カーボンナノベルトにさらに炭素を結合させていくと、筒状の素材「カーボンナノチューブ」も生成できるという。

photo 11段階で合成に実現
photo カーボンナノベルトにさらに炭素を結合させていくと、カーボンナノチューブに

 カーボンナノチューブは、軽い上に鉄の約20倍の強度があり、次世代材料として期待されている。これまでは、同じ直径と構造のカーボンナノチューブをまとめて製造することは難しかったが、カーボンナノベルトを使えば、特定のサイズのカーボンナノチューブを自由に作れる可能性があるという。

 研究成果は、米科学誌「Science」(電子版)に14日付で掲載された。

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