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2017年04月17日 08時00分 UPDATE

“中の人”が明かすパソコン裏話:外から見えない“PCの中身”が「整理整頓」されている理由を知っていますか?

メーカーの中の人だからこそ知っている“PCづくりの裏話”を明かすこの連載。今回は「整理整頓」について、PCのソフトとハードの両面から迫ります。

[白木智幸(日本HP),ITmedia]

 こんにちは、日本HPでPCの製品企画を担当している白木智幸です。この連載では、PCの周辺機器やPCパーツ、サポートの秘密、そして次世代のPCなどを広く紹介してきました。

 今回は「整理整頓」に着目してみたいと思います。皆さんは整理整頓が得意でしょうか? 私はとても苦手です。「取りあえずその辺に置いておこう……」と、書類を積み上げてしまいます。

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 ところがある日、「整理整頓は生物で人類のみが獲得した英知である」というお話を聞いたのです。「僕は人類でありながら英知を活用していないではないか……」と深く反省し、まずは身近なところから、特にPCのデスクトップ上にファイルやフォルダを置かないというルールを徹底することにしました。

 例えば、これまでデスクトップに散らばっていたドキュメントファイルを「2017年」「2016年」などと、1年単位の時間軸で大きく分けたフォルダに収納。その中に担当した製品を「スペック」「価格計算」「Webサイト」「写真」といったジャンルでさらに分類していきます。ファイルは必ず分類フォルダに格納することで、探したいものがすぐに見つかるようになりました。

photo 筆者が会社で利用している端末。デスクトップには「個人フォルダ」「PC」「一時保管」「ゴミ箱」のみ配置し、ファイルは全てフォルダ内に格納して散らからないようにしている

 常にフォルダ分けを意識する考え方は、ロジカルシンキング(論理的思考力)の基本ともいわれる「重複なく・漏れなく」(MECE)にも通じるものがあると考えています。バラバラの情報をカテゴリー分けすることで、見えないものが見えてきて新たな発見につながることもあるかもしれません。

 ファイルを整理する上で、「古いデータをいつまで保管しておけばいいのか?」という疑問を多くの方が抱えると思います。私はその答えが「2年」だと思っています。それ以上の古いデータを開くことはほとんどない上に、刻々と変わる仕事の状況に対して、そのファイルの利用価値は低下していくためです。

PCハードの中身も整理整頓の「塊」だったりする

 ここまでデスクトップの整理術のようなお話になっていましたが、本題に戻しますと、実はPC本体の中身(パーツなど)も整理整頓が重要だったりします。有名な話ですが、故スティーブ・ジョブズ氏は、「優れた家具職人は、誰も見ないからとキャビネットの背面を粗悪な板で作ったりしない」という言葉を残しています。

 その言葉を裏付けるように、初代Macintoshはマザーボードへ搭載するICチップさえも美しく配列していたことは有名な話です。

photo 初代Macintosh
photo 初代Macintoshのマザーボード(iFixitから引用)

 今となっては、その真意を本人に聞くことはできません。しかし、整理されているものは美しく、そして機能的であることは間違いないと考えています。人間だって頭の中を整理整頓することで情報がすぐ出せるようになり、結果的に仕事が早く進みます。

 電子機器の回路も同じです。PCの基板に配意されたそれぞれの部品が美しく整理されていることで、電気信号の伝達ロスが減少して性能の向上につながり、熱の発生も抑えることもできます。つまり省エネルギー性も向上するわけで、まさに好循環といえるでしょう。

photo 映画やアニメーション制作、3D CADなどの膨大なデータを処理する「ワークステーション」と呼ばれるPC。内部は自動車のエンジンルームのように、空気の流れを整流するためのカバーが施されている
photo カバーを取り外した状態。内部でパーツが整然としていることが分かる

 サーバなど部品の配置密度が高く、電力を大きく消費するようなマシンの場合、この“整理整頓”効果は絶大です。可能な限りパーツを銅線で接続せず、部品とシステムボードを隣接させて信号の伝達ロスを少なく、突起物がある部品の位置を工夫することで空気の流れがふさがないようにします。これで冷却ファンが高速に回らなくても冷却性能を高めることができます。

photo サーバの内部画像。極めて高い性能が求められるため、まるで集積回路のような整然とした配列になっていることが分かる。

 PCを購入しようとするときに、その内部まで見ることは難しいかもしれません。しかし、通常は見えなくても良い部分であるにもかかわらず、メーカーが自信をもって内部を公開しているような場合、その製品が性能的にも優れていることが期待できるといえるでしょう。チャンスがあれば、PCの内部をのぞいてみてください。意外な発見があるかもしれませんよ。

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著者:白木智幸(しろき・ともゆき)

日本HPPC&タブレットエバンジェリスト。パーソナルシステムズ事業本部に所属し、法人向けタブレット製品のプロダクトマネージャ(製品企画)とビジネスプラン(販売計画)を担当。PCやタブレットの楽しさや素晴らしさを広くお伝えすることを通じ、グローバル化の進む現代でよりよい働き方を実現するためのエッセンスを提供することがテーマ。


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