「PCは、タブレットやスマートフォンに取って代わられていずれなくなる」「コモディティー化が進み、もはや消耗品と化しつつある」――そんな話を耳にするようになって久しいですが、昔はPCを購入することはそれこそ一大決心でしたしワクワクするものでした。
この新連載では、そんな「ワクワクする気持ち」をもう1度思い起こすきっかけとなるような、PCのちょっと面白い「小ネタ」や「裏話」を、“PCを提供する側”というちょっと変わった視点からご紹介していきます。
申し遅れましたが、私はグローバル企業であるHPの日本法人で、海外仕様の製品を日本市場に合う形に変更するローカライズ分野などを担当しています。今回は、その一例である「ACアダプター」のローカライズの裏側をご紹介しましょう。
「えっ、ACアダプター?」と思う人も多いかもしれません。実際、ACアダプターは目立たない存在です。ともすると単なる「おまけ」として見逃しがちかもしれません。
しかし私はメーカーの人間として、PCとともに持ち運ぶACアダプターは形状や機能にもこだわるべきだと考えています。小型で持ち運びしやすく、さらに言えば“1台2役”で使えるものであれば、PCを持ち運ぶ動機にもつながるからです。
実は、ACアダプターのことを考える上で、まずは電気のことを少し押さえておく必要があります。電気は非常に便利です。ものを温めたり、冷却したり、光を出したり、エネルギーをいろいろなものに変換して私たちの生活を豊かにしています。ところが、このエネルギーは裏を返せば、危険なものでもあるのです。そのため、日本でも電気用品安全法(PSE法)など、電気を取り扱うための基準が定められ、電気用品はそれに基づいた設計が求められています。
私の所属企業は製品をグローバル展開しているので、各国の基準を守る必要があります。そして、なるべくコスト効率がよく、1つでなるべく多くの国に展開できることが同時に求められます。
一方でこのことは、ACアダプターの「ユーザーにとっての使いやすさ」と「ローカライズ」という観点で見た場合には、クリアすべき“課題”にもなります。
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