ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >

「縛り一切なし」をうたうFREETELの999円プラン、端末価格で3年間の“実質縛り”(2/2 ページ)

» 2017年04月18日 08時00分 公開
[井上輝一ITmedia]
前のページへ 1|2       

「とりかえられ〜る」から高くない?

 他方で、スマコミには「とりかえ〜る」という制度があるため、さほど高い価格設定とはいえないと反論する声もある。

 とりかえ〜るは利用開始後1年間で端末を破損しなかった場合、あるいは利用1年半以上経過してから端末を破損した場合に、残債を免除して利用端末を最新機種に「取り換えられる」という制度だ。つまり、「1年間使えば残債なしで最新機種に乗り換えられるのだから端末に対して額面ほど払うことはない」というような意見もある。

スマコミの「とりかえ〜る」制度とは

 しかし、例えばとりかえ〜るで満1年間利用後に別の端末に「取り換える」と、読んで字のごとくそれまで使用していた機種はFREETELに回収されてしまう。先ほどから例に挙げているPriori 4であれば、満1年間で980円×12カ月、すなわち1万1760円を端末代金として払った上で端末が回収されることになるが、この額は通常の一括価格1万4800円と3040円しか変わらない。通常一括価格で買っていれば当然手元に残るはずだった端末が回収され、端末に払う額も一括価格とそう変わらないのは、果たして「お得」といえるのだろうか。

 さらに、取り換えた先の最新機種もスマコミで36回の分割払いが始まるため、残債の問題は解決しない。FREETELの契約を解消するには、どこかのタイミングで残債を払うか3年間契約を維持するしかないというわけだ。

契約が不成立でも端末代金は払うはめに?

 端末価格が記載された「※補足」欄にはもう1つ気になる文言がある。

 「MNPのお申し込みの場合で、MNPの切り替えがなされなかった場合は、FREETEL SIMの契約が不成立となりますので、セット価格分を一括請求とさせて頂きます。」という一文だ。

「MNPのお申し込みの場合で、MNPの切り替えがなされなかった場合は、FREETEL SIMの契約が不成立となりますので、セット価格分を一括請求とさせて頂きます。」(囲みは筆者による)

 これは、他社からMNP予約番号を持ってスマコミの契約を申し込み、MNPのキャンセルや与信審査などで結果的にFREETELと契約を結べなかった場合、端末価格を一括請求する、と書いてあるようにも読める。従来の大手キャリアの契約形態と照らし合わせれば、通信契約が通らなかった際は端末の売買契約も無効になるのが常識であるように思えるが、「セット価格分を一括請求」というのが端末価格の一括請求を指すのであれば、「契約を申し込んだ時点で絶対に端末代金だけは払わせる」という意思を感じる。これも「契約が不成立」という特殊な場合に出現する「罠」だとはいえないか。

回答に時間がかかるFREETEL その間にサイレント修正も

 一連の問題について筆者が観測している限りでは、4月7日にライターの中山智さんがこれを指摘するツイートをして以降、話題が大きくなった。筆者も4月10日時点で上記に関する質問をFREETEL宛てに送っていたが、現在までに回答は来ていない。17日に電話で担当者に確認したところ「今週中の回答を目指す」という。

 一方で公式サイト上では動きがあった。「とりかえ〜る」の注意事項に

  • 「とりかえ〜る」を利用して機種変更を行う場合は、そのときにお使いのスマートフォンを返却していただく必要があります。該当機種ご利用3年目以降は返却の必要はありません。

 という文があったのだが、現在は

  • 「とりかえ〜る」を利用して機種変更を行う場合は、お使いのスマートフォンを返却していただく必要があります。ただし、該当機種ご利用4年目以降(または端末代金のお支払い完了後)は返却の必要はありません。

 と、利用年数について「3年目」から「4年目」に変更されている。変更後の文意をくむと「利用機種の分割払いが終了していれば返却の必要はない」ということ。一方、変更前の文を素直に読むと「利用3年目、つまり利用満2年以降でのとりかえ〜る使用で残債なし、かつ返却の必要もない」という意味になっていた。

4月17日時点でのとりかえ〜るの表記は「ご利用4年目以降」
4月10日時点では「ご利用3年目以降」になっていた

 これは単純に日本語のミスなのだろうが、この文言修正について公式サイト上のプレスリリースなどでは何のアナウンスもなかった。「2年使えば利用端末を返却せずに次の機種に換えられるのがいいよね」という理由で契約している人がいる可能性もあるが、そのような契約者に説明する責任はないのだろうか。

 4月13日には、国民生活センターから「こんなはずじゃなかったのに!“格安スマホ”のトラブル−料金だけではなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう−」と題した注意喚起も発表された。特に事業者を名指ししているわけではないが、「料金だけではなく、サービス内容や手続き方法も確認しましょう」というのは今のFREETELにぴったり当てはまるようにも思える。

国民生活センターによる「格安スマホの相談件数の推移」 2011年度から2016年度まで指数関数的に増えている

「日本品質」とは

 常日ごろから「日本品質」をうたうFREETEL。利用者の誤認をさそうプランと、日本語の間違いをひっそりと修正する姿勢が彼らの考える「日本品質」なのだろうか。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.