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「Dropbox Japanはユニークな立場にある」──新社長が掲げる“2つのテーマ”(2/2 ページ)

» 2017年05月26日 16時10分 公開
[山口恵祐ITmedia]
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重視するのは「透明性」

 Dropboxのユーザー数はグローバルで5億人、ビジネス向けプランの導入企業は20万社、年間売り上げは10億ドルをそれぞれ突破。現在は世界13拠点を持ち、社員数は約1500人に上るという。

 だが、オンラインストレージ分野ではこの数年で競合他社も多く出現。Dropboxは創業当時の勢いを失ってしまったのではと見る向きもある。米Dropboxのアディティア・アガーワルCTOは「他社との差別化ポイントはエンドユーザー重視であること」と説明する。

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 「創業時はファイルの同期に注力していたが、今はチームのコラボレーション機能にフォーカスしている。グローバルで展開するネットワークインフラも拡大を続けており、アジア、欧州、米国などを横断して同期スピードを改善している。(オンラインストレージとしての)パフォーマンスはトップクラス。ユーザーにも評価されている点だ」(アガーワルCTO)

 Dropboxでは2012年に、ユーザーのメールアドレスとハッシュ化されたパスワードの組み合わせが流出する事故が起き、同社は16年にそのことを発表した。サービスそのものの安全性を懸念する声も出たが、原因はオンラインストレージ内に保存されたユーザーデータの漏えいではなかったとアガーワルCTOは強調する。

 「これらの事故を克服するには、信頼に値する企業になることが大切だと考えている。このような危機が起きると、多くの企業は隠蔽(いんぺい)しようとするが、われわれは創業当時からユーザーファースト。正しい行為には痛みを伴うこともあるが、透明性を確保することが企業の評価につながるはずだ」(アガーワルCTO)

猛威を振るうランサムウェア、オンラインストレージの強みも

 5月中旬、古いWindowsの脆弱性を狙う「WannaCry」が全世界で話題になったように、ユーザーのPCに保存されたデータを勝手に暗号化して人質にする「ランサムウェア」が猛威を振るっている。

 Dropbox日本法人の荒井一広さん(パートナーマーケティングリード 日本・アジアパシフィック担当)は、ランサムウェア被害にあった企業がオンラインストレージ上のバックアップからファイルを復元できた事例も出てきていると話す。

 「ランサムウェアに感染して、PCを初期化するしかなくなった場合でも、Dropboxで必要なファイルを常時バックアップしていたため、データを復元できた事例が直近半年に複数の企業であった。バックアップと回復の用途で使われる企業ユーザーも多い」(荒井さん)

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