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「VRが世の中を変えると確信した」 元ネトゲ廃人の公務員がVR専門メディアを立ち上げるまで新連載・ゆとり記者が聞く(3/4 ページ)

» 2017年06月02日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

「VRで人が進化した」のを見た

 これまで数多くのVRコンテンツを体験してきた久保田さんが、「人が進化するのを感じた」と話すのが、ソニーコンピュータサイエンス研究所が開発する「JackIn Head」(ジャックインヘッド)。360度全周囲を撮影・伝送可能なウェアラブルカメラを頭に装着することで、ヘッドマウントディスプレイを付けた他者が「他人の視界をジャック」できるというもの。

JackIn Head JackIn Head」(ジャックインヘッド)のイメージ(ソニーコンピュータサイエンス研究所より)

 久保田さんが見たのは、VR技術を応用した鬼ごっこ「Parallel Eyes」。自分を含む4人分のカメラ映像がHMDに表示され、自分の視点を探し出し、他の映像から鬼の位置を把握するという戦略性のあるゲームだ。

「Parallel Eyes」 VR技術を応用した鬼ごっこ「Parallel Eyes」(「ニコニコ超会議2016」の様子)

 「VRがあれば、身体に制限されず感覚を拡張できる。これまで不可能だと思われていたものが実現されるはずだけど、それがどのようなものかは分からない。その異質さもVRの魅力」。

 久保田さんが「これまでにない感覚を覚えた」ゲームの1つが、水口哲也氏が開発したPS VR向けソフト「Rez Infinite」。「シナスタジア」(共感覚)をコンセプトにした音楽シューティングゲームで、音楽とビジュアルが呼応し、音楽は振動に変わる――幻想的な宇宙空間を漂う話題のゲームは、あまたのVRを経験した若者をうならせた。

 「感動しました。完全なる別世界へ行くという体験はVRならではだと思いますが、実際にそれを実現しているゲームは多くありません。映像や音、時には振動などのいろんな感覚が混ざり合っていく。全然知らない新しい世界へ連れていってもらいました」。

 VRが人や社会にもたらす変化についても、あくまで肯定的に捉えている。

 「スマートフォンが普及し、生活様式や文化、若い人の価値観を変えてきましたが、同じ役割をVRも担うと思います。ですが、VRは情報だけ届けても体験してもらわないと意味がない。早くVRが当たり前になる世の中になるよう、多くの人がVRに触れられる機会を作っていきます」。

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