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2017年06月06日 02時15分 UPDATE

太田智美がなんかやる:WWDC冒頭で、クックCEOが82歳のiPhoneアプリ開発者・若宮さんを紹介 成田空港でインタビューしてきた

WWDCに参加するマーちゃんを密着取材しました。

[太田智美,ITmedia]

 WWDC 2017のKeynoteで、10歳のiPhoneアプリデベロッパーユマ・ソエリアント(Yuma Soerianto)さんと82歳のiPhoneアプリデベロッパー若宮正子さんが紹介された。最年少のソエリアントさんは、オーストラリアのメルボルン出身の少年。最年長の若宮さん(以下、マーちゃん)は、ITmedia NEWSが開発の第一報を伝えたhinadan」アプリの制作者である。

 この2人がWWDCに招待されていることはすでに各報道で伝えられているが、実はその招待が決まった直後にマーちゃんから筆者のもとに連絡が入っていた。マーちゃんの参加は「WWDC 2017のサプライズスペシャルゲスト」という位置づけであり、Apple社の意向で極秘に取材。社内でも、何をしているのかと問い詰められながらもコソコソと取材を進めてきた。

 マーちゃんはどんな気持ちでWWDCに向かったのか。クックCEOに会ったとき何を話すのか。6月1日、成田空港からWWDCへ飛び立つ直前のマーちゃんのインタビューと、その一部始終を記載したい。


WWDC 2017のKeynote 10歳のiPhoneアプリデベロッパーユマ・ソエリアントさん(左)と82歳のiPhoneアプリデベロッパー若宮正子さん(右)

 「世界中の人がみんなプログラミングができて、自分の身の回りのことを解決するために自分がプログラミングを組む。例えば、自分のおじいちゃんが認知症でどこかへ行ってしまうんだったら、おじいちゃんをどうやって発見するかということは自分で考える。ひとりひとりの処方箋は違うから、みんながプログラムを作れたらいいなーなんて」――成田空港で、マーちゃんはこんなことを言っていた。


WWDC 2017のKeynote WWDCに向かう成田空港で待ち合わせ。マーちゃん(右)とお見送りに来ていたマーちゃんのお兄さん(左)

 マーちゃんがiPhoneアプリを作りたいと思い立ったのは2016年の夏。「若い人が作るアプリは年寄りにはつまらない……」(関連記事)とMacBook Airを購入し、それから2週間に1度、2時間ほどSkypeを使って宮城県に住むエンジニアに習いながら開発した。

 作ったのは、ひな壇に男びなや女びな、三人官女、五人囃子などを“正しく”並べていくゲーム。3月3日のひな祭りを目指し、2017年2月24日に公開された(関連記事)。

 数ある言語の中、マーちゃんがSwiftを選んだのは「使い勝手がいい」と周りの人から聞いていたから。「Swiftはガーっとプログラムを書くのではなくて、ここにお人形さんを置くとか、この人形は触られたときにどういうアクションを起こすとか、書かなくていい部分も結構あるのが特徴。デバイスに合わせたコンテンツ表示位置の調整も、AutoLayoutという機能を使ってできたりする。どんどんバージョンアップしているので、今後使う人も増えてくるのではないかと思う」(マーちゃん)。

 しかし、当時81歳のマーちゃんにとって、iOSアプリの開発は一筋縄ではいかなかったという。「やっぱり難しかったです。プログラミングの構造を理解するのが難しかった。それと、全部英語だということ。プログラムもエラーメッセージも英語、Appleの申請も全部英語。だから、ちょっと疲れました」(マーちゃん)。



 マーちゃんは続ける――「もうちょっとプログラミングを簡単にできたらいいと思う。例えば、あらかじめパッケージ化しておいて、こういうときにはこのプログラミングをバッとコピーして貼り付けちゃって、あとは中身をちょこちょこっと直せばいいとか。とりあえずまだ自分が勉強していないので、勉強をしなきゃいけないんです。中途半端な勉強なんかじゃ、とてもついていけない。とにかくわけが分からなくても作っちゃったから、今年は全部基礎からもういっぺん勉強しようと頑張っています。今は意図的に1日30分くらいやっています。忙しい時は2週間くらいほっといて(笑)。朝の5時半が一番頭がさえているんです」。

 そう言うと、持っていたかばんの中からおもむろに1冊の本を取り出した。「飛行機の中で勉強しようと思って。すごい勉強しなきゃついていけないですよ〜」。


WWDC 2017のKeynote


 こうして、マーちゃんはiOSアプリ開発の本を片手にサンノゼに向かった。「Apple本社というよりは、シリコンバレーそのものを見てきたいと思っています。シリコンバレーに行くのは初めて。想像するに、シリコンバレーはPCのデスクトップアイコンが並んでいるようなところかなと思うんです。ここにGoogleがあって、ここにFacebookがあって、ここにApple、Adobe、Yahoo!があって……PCのデスクトップアイコンが、そのまま地図の上に乗っかっちゃったような、そんなところかなと想像しています」(マーちゃん)。



「WWDC 2017」マーちゃん旅行記

 以下、マーちゃんから送られてきた写真を、メッセージと共に紹介する。

6月1日午後2時:成田空港待ち合わせ。Keynote当日に着る衣装は、Apple広報の方と相談して決めたそう。着用するのは真っ赤なブラウスに3Dプリンタで作ったペンダントの衣装。


WWDC 2017のKeynote Keynote当日に着ている衣装(写真提供:マーちゃん)

WWDC 2017のKeynoteWWDC 2017のKeynote 他の候補として、マーちゃんがエクセルアートで作ったTシャツ(左)などもあったが、クックCEOが当日着るシャツの色とかぶってしまうことや、リンゴがプリントされていることから却下になったという

飛行機はANAのビジネスクラス


WWDC 2017のKeynote 搭乗・機内の様子(写真提供:マーちゃん)

WWDC 2017のKeynote 夕食もモリモリ食べた様子(写真提供:マーちゃん)

サンノゼに無事到着


WWDC 2017のKeynote (写真提供:マーちゃん)

夕食は、ホテルの近くのベトナム料理店


WWDC 2017のKeynote (写真提供:マーちゃん)

秘書さん随行で、アメリカのスーパーにもお出かけ


WWDC 2017のKeynote (写真提供:マーちゃん)

マーちゃん、Keynote写真撮影のためメイクする。10歳の開発者と、82歳の開発者というテーマで撮影


WWDC 2017のKeynote (写真提供:マーちゃん)

本社旧館に訪れるマーちゃん


WWDC 2017のKeynote (写真提供:マーちゃん)

新館は、まだまだ建設中


WWDC 2017のKeynote (写真提供:マーちゃん)

クックCEOとご対面


WWDC 2017のKeynote マーちゃん「なんと、今日は、参加者登録の後で、記者会見があり、そこに、CEOが入って来られました。熱心に5分ほど私の話を聞いてくださいました。クックCEOは『シニアにはiPadの方がいいかもしれない』とか、『16対9(iPhoneの縦横比)のものを、 4対3(iPadの縦横比)に直した話』とか。『AutoLayoutは難しいですか』といったお話もしてくださいました。経営者だけど技術屋さんだな、と思いました。でも、すごく優しい方でした。それと、出会ったApple社員の全員が、上司の顔色ではなく、会社が好きだからやっているということが伝わるんです。これもクックCEOのお人柄なのでしょう」(写真提供:マーちゃん)

10歳のiOSアプリ開発者との2ショット


WWDC 2017のKeynote 10歳のiPhoneアプリデベロッパーユマ・ソエリアントさん(右)と82歳のiPhoneアプリデベロッパー若宮正子さん(左)。(写真提供:マーちゃん)

 

太田智美

筆者プロフィール

プロフール画像

 小学3年生より国立音楽大学附属小学校に編入。小・中・高とピアノを専攻し、大学では音楽学と音楽教育(教員免許取得)を専攻し卒業。その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科に入学。人と人とのコミュニケーションで発生するイベントに対して偶然性の音楽を生成するアルゴリズム「おところりん」を生み出し修了した。

 大学院を修了後、2011年にアイティメディアに入社。営業配属を経て、2012年より@IT統括部に所属し、技術者コミュニティ支援やイベント運営・記事執筆などに携わり、2014年4月から2016年3月までねとらぼ編集部に所属。2016年4月よりITmedia ニュースに配属。プライベートでは2014年11月から、ロボット「Pepper」と生活を共にし、ロボットパートナーとして活動している。2016年4月21日にヒトとロボットの音楽ユニット「mirai capsule」を結成。

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