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“替え玉”飲酒運転を防げ――顔認識で本人確認、日立が新型検査器

» 2017年06月12日 14時55分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 日立製作所は6月12日、顔認識機能が付いたポータブル呼気アルコール検知器を試作したと発表した。スマートフォンに検知器を取り付け、検査した人とドライバーが同一人物かをスマホの内蔵カメラで判定し、“替え玉”による検査突破を防ぐ考え。8月から実証実験し、物流業者などで働くドライバー向けに実用化を目指す。

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 物流業者の飲酒運転防止に向け、日立は2016年、本田技術研究所と共同でポータブル呼気アルコール検知器(旧型)を試作。だがカメラや通信機能を備えていなかったため、検査の際に身代わりを立ててくぐり抜けられてしまう、事業者が各ドライバーの検査結果を一元管理できないなどの課題があった。

 新型はAndroidスマートフォンに取り付けて利用する。検知器に息を吹きかけると、呼気中のアルコール濃度をチェックし、同時にスマホのカメラが顔画像を撮影。それから約5分以内に、ドライバーは運転席付近にスマホを設置し、顔を再撮影する。出発前と乗車後の顔画像を照合し、替え玉検査を防ぐ仕組みだ。

photo スマホに取り付けて利用する
photophoto 呼気のチェック、顔を撮影後、運転席で再び顔認識

 検査結果は専用スマートフォンアプリで集計。ドライバーの管理者は、検査時刻、アルコール検知の有無、端末IDなどのデータをクラウド経由で確認できる。

 将来は、本人確認できない場合にエンジンがかからないようにしたり、シートベルトを外すと検査がやり直しになったりする機能を追加したいという。

小型化でスマホに装着 「場所を選ばず検査」

 新型検知器は旧型と比べると、スマホのバッテリーを利用するなどして約3分の1サイズに小型化。「スマホに取り付け、場所を選ばず、どこでも検査できるのが強み」(同社)という。新型のサイズは、約6(縦)×約4(幅)センチ、重さは約20グラム。

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 実証実験は日立キャピタルオートリースと共同で、8月から東京都、神奈川県、埼玉県の3営業所で行う。

 日立製作所研究開発グループ基礎研究センターの山田真治センター長は「これまでの呼気検査器は、事務所や自宅などに設置する据え置き型が主流だった」「検査器をポータブル化し、最大限に活用できる使い方を、実証実験を通じて探り出したい」と話した。

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