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2017年06月16日 18時33分 UPDATE

寄り道テック:トイレットペーパーから個人を識別できる?(動画あり)

便器にセンサーを組み込んで使用者の体調を管理するスマートトイレには、個人識別が欠かせないが、そのための画期的(?)な研究結果がある。

[大村奈都,ITmedia]

 トイレットペーパーといえば、わたしたちが毎日お世話になっている、しかし買い置きが切れたとき以外は気にも留めないアイテムだ。そんなトイレットペーパーに関して、神戸大学塚本・寺田研究室が興味深い研究を行っている。ペーパーの使用量から個人を識別できるのではないか、という研究だ。

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 便器にセンサーを設置し、生体情報を取得して健康管理に役立てる「スマートトイレ」が、IoT(Internet of Things)の応用例として注目を集めている。だがトイレは、家族など複数人が共用することが多いため、個人を識別する手段が欠かせない。タッチパネルを設置して個人名のボタンを押してもらえばいいのだが、これでは確実に入力忘れが発生する。トイレにカメラやマイクを設置するか、便器に体重計を設置して個人を識別するなどの方法もあるが、プライバシー上の問題があまりにも大きい。

 その点、トイレットペーパーなら使い忘れることはまずないし、1軸のデータを収集するだけであって直接的なプライバシーの問題もない。他人のペーパーの巻き取り方をまねする人もまずいないので、使用方法は個人に特有だと考えられる。

 研究で示されたのは、トイレットパーパーの芯ホルダーにジャイロセンサーを取り付け、芯が回転する勢いや長さのパターンを収集し、個人を識別する方法だ。

photo ジャイロセンサーを取り付け

 研究チームは、男性27人と女性14人が、実験室でペーパーの巻き取りを各人20回ずつ行う実験と、男性14人が大学のトイレに設置した装置を1カ月間利用する実験をそれぞれ実施。女性用トイレへの長期間のセンサー装着は、プライバシーの観点から見送った。

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 トイレでの利用実験で得たデータを5人家族にあてはめた場合、個人識別の精度は平均83.9%と高かった。だが実験室のデータを基にした場合、個人の識別精度は69.2%にとどまる結果に。いずれの場合も、被験者の組み合わせによっては精度が50%以下に下がることもあった。

photo 実験結果

 トイレットペーパーを使う方法は、個人識別の決め手にするにはまだ壁が高いようだ。ただし他の手段と組み合わせれば、識別率の大きな向上も見込めるだろう。スマートトイレ本格普及の大きな鍵になるかもしれない。

寄り道テック

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