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女性起業家へのVCによるセクハラが顕在化 「業界全体の人事機能が必要」とLinkedIn会長

» 2017年06月25日 08時49分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 サンフランシスコに拠点を置くベンチャーキャピタルBinary Capitalの共同創業者でベンチャーキャピタリスト(VC)のジャスティン・カルドベック氏が複数の女性起業家にセクハラを行っていたと米The Informationが6月22日(現地時間)に被害者の6人への取材に基いて報じた。

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 6人のうち3人は実名を出し、出資の相談をした際にカルドベック氏がテーブルの下で体をまさぐったり、ホテルの部屋で話をしようと誘ったり、午前3時にメッセージをよこしたと具体例を挙げて語った。

 米Pandoによると、カルドベック氏はこの記事に対し、当初「The Informationの私の性格についての攻撃を強く否定する。事実は、私は常に女性の創業者、ビジネスパートナー、投資家と互いに尊重し合う関係を持っている」と主張し、Binary Capitalもカルドベック氏を擁護する声明文を発表していたが、その後カルドベック氏はBinary Capitalを辞めるという声明文を米Axiosに送り、その記事を添えて「非常に残念です」とツイートした。

 justin 2 ジャスティン・カルドベック氏(LinkedInより)

 この声明文でカルドベック氏は「この24時間は私の人生で最も暗かった。私は自分のキャリアを通じて多くの過ちを犯し、その一部が今週白日のもとにさらされた」と語り「私のせいで居心地の悪い思いをさせた女性たちと、私が台無しにしたテクノロジーコミュニティに謝罪する」としている。

 米Microsoft傘下のビジネスSNS、LinkedInのリード・ホフマン会長は23日、LinkedIin上に「The Human Rights of Women Entrepreneurs(女性起業家の人権)」というブログを投稿し、VCによる女性起業家へのセクハラは「非常に不道徳で言語道断な行為」で、業界全体がこの問題について考えるべきだと語った。

 ホフマン氏は自らも起業家であり、米Greylock Partnersに籍を置くVCでもある。同氏は、企業内での上司と部下のセクハラ問題に対処するのと同様な、VRと起業家の問題に取り組む業界全体の人事機能が必要だと主張した。

 同氏は自分のキャリアをリスクにさらして声を上げた3人の女性起業家、ニニアン・ワン氏スーザン・ホー氏ライティ・スー氏の行動を賞賛し、彼らの行動が他の人々にも勇気を与えることを願うと語った。

 米Uberでのセクハラ問題をブログで暴露し、同社のトラビス・カラニックCEO辞任のきっかけの1つを作ったスーザン・ファウラー氏は「この勇気ある女性たちが名乗り出るのがどんなに恐ろしかったか想像できないほどだ。実行してくれたことにとても感謝する。沈黙するのはおしまいだ」とツイートした。

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