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「生配信で月1000万円の子も」 “努力が実る”SHOWROOMにアイドルのタマゴが殺到する理由ゆとり記者が聞く(1/4 ページ)

» 2017年07月05日 07時00分 公開
[村上万純ITmedia]

 「生配信で月1000万円売り上げる子もいる」「ここは、努力が実る場所なんです」

 アイドル戦国時代といわれる昨今、メジャーデビューを夢見るアイドル・タレントのタマゴたちは数多くいるが、全ての努力が実を結ぶわけではない。そんな彼女たちの多くが夢を実現する場として選んでいるのが、仮想ライブ空間「SHOWROOM」だ。

showroom 仮想ライブ空間「SHOWROOM

 SHOWROOMは、DeNA発のプロアマ問わず誰でも生放送の配信や視聴ができるライブ動画サービスで、配信者と視聴者が双方向コミュニケーションを取れるのが特徴。配信者にアイテムを送れる「ギフティング」というシステムがあり、配信中に投げ込まれた無料・有料アイテムの総数に応じた報酬が配信者に支払われる。

 自身のアバターが配信者を囲むように配置され、ライブ会場のような一体感を演出。有料アイテムを送るなど、能動的なアクションを続けることで、より目立つ前列にアバターを配置できる。実際に使ってみると分かるが、人気配信者は積極的に視聴者コメントを拾い、巧みに会話を広げていく。

 YouTube、niconico、LINE LIVEなど、類似のライブ配信サービスがいくつもある中、なぜ彼女たちはあえてSHOWROOMを選ぶのか。そのポイントは、他のライブ配信サービスにはない「努力が実る仕組み作り」にある。

連載:ゆとり記者が聞く

小学生の頃には携帯電話とインターネットが身近にあった「ゆとり世代」の記者が、いま気になる若手をインタビュー。一般的に「競争が苦手」「自主性がない」とされるゆとり世代の正反対をいく、活躍する若者の共通点とは?


 SHOWROOMの前田裕二社長は「ヒットする配信には共通点があり、それを守れば誰でも一定の人気を得られる」と話す。徹底的なデータ分析と調査で「エンタメを科学」する中で、「ヒットの法則」「男女で異なる異性への理想像」などが見えてきたという。

 前田社長自ら「いい意味で“意識高い系”のサービス」と語るように、SHOWROOM最大の特徴は、その蓄積したノウハウを配信者に手厚くフィードバックする支援システムにある。

 そのアドバイスを実践し、「月の売上を20円から100万円にした」女性タレントもいるという。「AKB48 49thシングル 選抜総選挙」とのコラボ企画で見事1位を獲得した「朝5時半の女」こと大西桃香さんも、テレビでは無名だったがSHOWROOM内で圧倒的人気を誇る。

 順調に売上を伸ばすSHOWROOM。「努力が実る」仕組み作りについて、前田社長に聞いた。

前田さん SHOWROOMの前田裕二社長

「有料アイテムが飛び交う」 中国ライブ配信の衝撃

 2013年にSHOWROOMを始める際に参考にしたのが、中国のライブ配信サービス「YY LIVE」だ。配信者と視聴者の双方向コミュニケーション、配信者にバーチャルギフトを贈る機能など、今のSHOWROOMに通ずる点も多い。

 前田社長は、「なぜ、YY LIVEは配信のクオリティーが高いのか」と疑問を持っていたが、現地視察でその謎が解けた。YY LIVEには、「公会」(オーガナイザー)と呼ばれる法人がいくつもあり、各公会に配信者が所属している。日本の芸能事務所のようなもので、このオーガナイザーたちが所属タレントに配信のお膳立てをするのだ。

 かわいいぬいぐるみやベッドなどがそろった自室風のスタジオ(マンションの一室)をはじめ、かわいく見える撮影角度、現実感をなくして課金を促すためにわざとぼかした配信画質など、あらゆる面で支援する。

 YY LIVEの人気配信者は、月に億単位で収益を得るという。人口や市場は違えど、そんな夢のような仕組みをSHOWROOMでも実現できれば。SHOWROOMでも国内のオーガナイザーと提携し、ノウハウを共有している。

 「SHOWROOMとYY LIVEは何が違うのかを研究し、それは配信クオリティーだと仮説を立てた。しかし、それはささいなことで、配信をヒットさせる要因は他にあった」(前田社長)

※SHOWROOMからの要請で、一部表現を変更しました(2017 07/05 14:54)。
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