(編集部注)本記事は、執筆時に公開されていた決算公告に基づいたものです。
動画マーケティングを支援するViibar(東京都品川区)が9月22日、官報に掲載した資本金の減少公告と貸借対照表(2016年12月31日現在)によれば、当期純損失は2億9600万円の赤字、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は6億8700万円の赤字だった。
Viibarは13年設立。「動画の世界を変える。動画で世界を変える。」を掲げ、全世界で3000人超の動画クリエーターを抱えるネットワークと、自社開発の動画制作支援ツール「Vync」を活用し、約600社のデジタル動画マーケティングをサポートしている。
Viibarは、14年にグロービス・キャピタル・パートナーズとグリーベンチャーズから3億円、15年にヤフーとの資本業務提携時に7億円を調達。さらに17年に入って日本経済新聞社や電通グループとも資本業務提携を結び、それぞれのタイミングで4億円ずつ調達し、累計資金調達額は20億円近くなっている。
代表取締役の上坂優太氏は映像制作会社に就職して企画制作を担当した後、楽天に転職。楽天市場のマーケティング戦略などに携わっていた。
今回の決算で3億円の赤字を計上するなど、調達した20億円を生かして攻めている印象のViibar。その背景には、290億円(14年)→516億円(15年)→869億円(16年)→1224億円(17年予想)と急激に伸びる国内の動画広告費市場があります(D2Cとサイバー・コミュニケーションズの調査より)。
以前、この連載で取り上げた3ミニッツ(グリー傘下)もそうでしたが、急成長する市場でシェアを取れるのであれば、数十億円を投資しても回収できる可能性が高く、リスクマネーを調達してガンガン投じていくというのは、スタートアップらしい戦略といえます。
それに加えて注目しておきたいのが、Viibarが強みとしている動画制作ノウハウ。「短期間・低予算で量産できる」「公開後もPDCAを回せる」といい、ネット上の動画広告という枠にとどまらず、既存の動画に関連する媒体や広告市場に対しても侵食的拡大を狙える可能性があります。
約30年前と現在を比べるとネット広告が1兆円を超えるなど、マーケティングの考え方や媒体は多様化しましたが、国内の広告市場規模は6兆円前後のまま変化していません。ということは、それだけネット広告に食われたコンテンツがあるわけです。Viibarのような会社がそうした陣取り合戦にどう影響していくのか、興味深いところです。
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《著者紹介》
平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。
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