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» 2017年10月06日 21時46分 公開

ドローン×移動販売で、空飛ぶ「からあげクン」お届け 楽天とローソンが連携

ドローンと移動販売を組み合わせた商品配送で楽天とローソンが連携。買い物困難者のサポートを目指し、10月31日から半年間、南相馬市で試験運用を行うという。

[村田朱梨,ITmedia]

 「ドローンを使って、空飛ぶからあげクンをお届けしようじゃないか」――ローソンの竹増貞信社長は10月6日、都内で楽天と開いた会見でそう話した。両社は買い物困難者のサポートを目指し、10月31日からドローン配送を組み合わせた移動販売を試験的に実施する。移動販売車では取り扱えないフライドフーズやその日積んでいなかった商品などを、お客さんの要望に合わせて移動販売車がいる場所までドローンで届ける。こうした連携は日本初の試み。

photo 楽天のドローンと荷物
photo ドローンでの配送イメージ

 試験運用には、楽天と包括連携協定を結ぶ福島県南相馬市が協力。ローソン南相馬小高店が週に2度行う移動販売のうち、同市内の小谷集落センターへ向かう木曜日の販売がドローン配送の対象となる。

 移動販売車は商品を売りつつ、お客さんから要望があった商品を店舗に電話で注文。商品を積んだドローンは、店舗から小谷集落センターまでの約2.7キロを飛行する。荷物の積み込みから到着までにかかる時間は約10分。ドローンは基本的に自律制御システムで動くが、離着陸や安全確認が必要な場面では楽天のスタッフがタブレットで操作する。

photo 移動販売車とドローンの連携
photo ドローンの移動距離と離着陸する場所

 ドローン1台が運べる荷物の重さは約2キロで、2台を運用予定。ただし同時に2台を飛ばすことはできないため、移動販売を行う1時間で何度ドローンを飛ばせるかは未定だ。

 移動販売車で販売しているのは冷凍、冷蔵、常温の商品に限られ、フライドフーズは品質管理の都合上扱えないという。しかしドローン配送によって小谷の人たちもフライドフーズをはじめ幅広い商品を購入できる。ローソンの竹増貞信社長は会見で「空飛ぶからあげクンをお届けしようじゃないか」と笑った。

photo ローソンの移動販売車両

 今回のようなドローンとコンビニの移動販売の連携は日本初の取り組み。ドローンの飛行にはさまざまな規制があるため、飛行ルートは国土交通省とも相談し、市の協力の下、基本的に人のいない河川上のみを選んだという。

楽天とローソン、タッグの理由は「買い物困難者を救いたい」

 今回の取り組みについて、楽天ドローン事業部の向井秀明ジェネラルマネージャーは「買い物困難者を救うという、同じミッションを持つローソンの移動販売車とのコラボ。より多くの方が南相馬市に戻ってくるきっかけを作ることができれば」と話す。

 南相馬市では東京電力福島第一原発事故後、6万人もの住民が避難を余儀なくされた時期もあったという。2016年7月に避難指示区域指定は解除されたが、その後戻ってきた住民は800人ほど。現在は2500人ほどまで回復しているが、避難前は高齢化率30%に満たなかった地域でも51%を超えるなど高齢の住民が多く、買い物弱者や医療弱者なども増えているという。

 そうした状況の中、ローソン南相馬小高店は16年10月に営業を再開。避難指示区域指定解除から小高区で最初に営業を再開したコンビニとして、住民の買い物をサポートしてきた。

photo ローソン南相馬小高店とオーナーの霜山貞二さん

 しかし、ローソンの竹増社長は「特にシニアの方は買い物になかなか来られず、移動販売でも全部はカバーしきれない」と話す。そこに「ドローンを使いましょう」と声をかけたのが楽天だった。

 「単に店をそこに置いて商売をするところから、来られない方や家に来てほしいという方にどうやって良いサービスを提供していくかが求められるようになってきた。今回の取り組みは、正面からそれに合致する」(竹増社長)。南相馬市の桜井勝延市長も「他の住民と会話する場所があることで地域コミュニティの再生にもつながる」と、ドローンと移動販売の連携に期待を寄せる。

 楽天の三木谷社長は「過疎地域や山間部、離島などでは人間がものを届けるとコストが合わないのが現状」と指摘した。「今回のプロジェクトは大変意味があること。南相馬市の復興に向けてさまざまな形で協力していきたい」(三木谷社長)

photo 左から順に楽天の三木谷社長、南相馬市の桜井市長、ローソンの竹増社長

 今回の試験運用は10月31日から半年間実施予定。検証や利用者の意見をふまえ、その後の展開を検討するとしている。

 楽天は16年5月にドローンによる荷物配送サービス「そら楽」を千葉県御宿町のゴルフ場で開始。17年1月には南相馬市で、ドローンを活用した長距離貨物配送の実証実験を行い、6月にはこうした無人配送を実用化し被災地の復興に役立てる考えを発表している。

 一方ローソンは2013年から本格的に移動販売を開始。地方の中山間地域や都市部の高齢者施設などを中心に、約80店舗で実施しているという。

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