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お店の「POSレジ」もWindowsで動いている PCの意外な利用シーン“中の人”が明かすパソコン裏話

» 2017年10月24日 08時00分 公開

 こんにちは、日本HPでPCの製品企画を担当している白木智幸です。この連載では、もはや知り尽くされていると思われがちなPCの意外な一面を、メーカーにいる“中の人”の観点で紹介しています。今回は、もはや生活に密着していると言っても過言ではない「PC」の意外な利用シーンを紹介していきたいと思います。最初に紹介するのは「POSレジ」です。

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 POSレジは「Point Of Sales」の略で、商品の販売情報を管理する機能を持ったレジのこと。スーパーや飲食店、アパレルショップなど、さまざまなところで利用されています。業務用の専用機器を思わせる見た目をしていますが、ほとんどの場合、中身はWindowsが動いているPCです。

 商品の合計を表示し、現金やカードで代金を受け取って決済処理を実行。レシートを発行し、現金の場合は釣銭をわたすといった、接客における代金収受の一連の動作に欠かせません。店舗側にとっては、商品の売り上げを集計したり、そのデータを次の商品の仕入れ計画に役立てたりするという重要な役割を担っています。

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 小規模な店舗では、現金を収納するキャッシュドロアーとテンキーが付いただけの「レジ」を使っているケースもあります。使ったことがある方はご存じかもしれませんが、そういったタイプのレジには商品を登録する機能が無いため、会計時に「金額」→「商品名またはカテゴリー」を繰り返し入力していく必要があります。

 この場合、売場に置く全ての商品に値札シールを貼り付けるか、お店にどういった商品があるか、商品名や値段を暗記しなければなりません。ある程度手際よく入力していくためには、店員の熟練度が必要とされるうえ、人間ですから打ち間違えもありえます。

 こういったシンプルな機能を持つレジでも、なぜ商品名やカテゴリーをいちいち入力するかといえば、やはり後でどの商品(カテゴリー)がいくら売れたのかを分析し、仕入れや売上予測に役立てることが経営上の重要な観点だからです。

 ネット動画などでレジ打ちを超高速にできる達人が紹介されているのを「すごいな」とご覧になった方もいるかもしれません。しかし、全ての人が卓越した技術を持っているとは限りませんし、商品数が増えていけば、さすがに記憶の限界にぶち当たるでしょう。

 そこで、バーコードを読み取るだけで商品名、金額を登録できるPOSレジの出番となるわけです。この商品(バーコード)は「○○」という商品で、金額は「○○○円」という商品データを事前に登録しておく作業は必要ですが、1回登録してしまえば、あとはバーコードをスキャンするだけでスピーディーな会計を実現できます。

 さらに、最近は自動的にクラウドへ店舗ごとのデータが登録され、必要なタイミングで、本社などどこからでもデータ分析できるような体制となっている企業も珍しくありません。

スタイリッシュな見た目のPOSレジも

 これまでにお店で見掛けるPOSレジといえば、白くガッチリとした機械という印象が強かったかもしれませんが、最近はアパレルや飲食店を中心にデザイン性を重視するケースも増えてきました。

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 その背景の1つには、ネットショッピングが日常で当たり前になる中で、オンラインとオフラインの体験の差別化がますます進んでいることが挙げられます。

 客が店舗に訪れるという事は、すなわちオンラインショッピングでは味わえないその場の“体験”が重要になります。ブランドのアパレルショップであれば、目に入るところには存在感のある“白いレジ”を置くのではなく、そのお店の雰囲気を損なわないデザインのPOSレジが求められるといった契機になります。

 皆さんもご経験あろうと思いますが、いざ支払いとなると、商品を選ぶ「夢」の世界から急に「現実」に戻されます。実際に、支払いの体験がその商品購入が良かったのか悪かったのかを印象づけるカギになるという説もあります。体験をいかに演出するかという事も重要なのです。

 その一方、最近はスマートデバイスをPOSレジとして利用する店舗も増えてきました。レジにはタブレットだけが置いてあり、それだけで決済ができてしまう導入の手軽さが売りです。省スペースで、データ化に関しても非常に相性が良いでしょう。

photo (クラウドPOSレジサービス「スマレジ」から引用)

 決済の電子化が進むように、それを処理するPOSレジも変化していくことは自然な流れかもしれませんね。お店で決済するときに、どんなレジが使われているかを気に掛けると面白い発見があるかもしれません。

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著者:白木智幸(しろき・ともゆき)

日本HP PC&タブレットエバンジェリスト。パーソナルシステムズ事業本部に所属し、法人向けタブレット製品のプロダクトマネージャ(製品企画)とビジネスプラン(販売計画)を担当。PCやタブレットの楽しさや素晴らしさを広くお伝えすることを通じ、グローバル化の進む現代でよりよい働き方を実現するためのエッセンスを提供することがテーマ。


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