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めんどくさい? 税率高すぎ? 仮想通貨の確定申告、税理士に聞いた(3/4 ページ)

» 2018年01月13日 10時00分 公開
[岡田有花ITmedia]

――円で購入したビットコインを使って、アルトコイン(ビットコイン以外の仮想通貨)を買いました。この場合、税金はかかりますか?

 はい。ビットコインを「別のものに交換」したことになりますから。購入したアルトコインの「時価」(その時の価格)が、購入に使ったビットコイン取得価格より高ければ、その差額が所得として課税対象になります。

――「時価」とは何ですか?

 「時価」とはその言葉の通り、その時点おける価額のことを言います。仮想通貨の場合は、その時点の取引所価格が時価に当たると考えられます。

――ビットコインを使ってアルトコインを買った場合、所得はどう計算するんでしょうか?

 購入に使ったビットコイン取得時の時価を、購入したアルトコインの時価から引いた差額が所得になります。

――例えば、(1)10万円で1ビットコインを買った、(2)1ビットコインを5イーサに交換した。交換当時、取引所のイーサの円建て価格(時価)は3万円だったとします。この場合、3万円×5(購入したイーサの時価)-10万円(ビットコインの取得時価)=5万円が所得になるということですか?

 それで問題ないです。

――アルトコインを海外の取引所で買っていて、円建ての価格をいちいち確認していませんでした。買った当時のレートをさかのぼって適用すればいいですか?

 そうですね。自分が売買した時の、自分が使っている取引所のレートを使うのが一番まっとうだと思います。

――仮想通貨は1日で価格が5倍になるなど、レートの上下が激しいです。購入時の価格をさかのぼるにも、購入した瞬間のレートを特定するのが難しそうなんですが……。

 国税庁は、上場株式や為替の時価について、厳密には「東京市場の終値」としています。ビットコインなど仮想通貨には東京市場が存在しないため、例えば、「特定の取引所の終値(23時59分時点の価格)を採用する」など、時価を適切に計算するルールを決め、適用すればよいかと思います。

 とはいえ時価ですから、実態と著しく乖離していなければOKです。税金は1000円以下切り捨てですから、100円、1円単位まで神経質になる必要はありません。

――仮想通貨間の取引を何百回もしている場合、1回ごとの利益を特定して足し合わせていくのは、かなり面倒くさくて気が遠くなる作業ですよね。

 ビットコインとアルトコインを何度も往復して取引している場合、1回1回利益を追って計算するのは、現実的ではないですよね。

 その場合は、12月31日時点で保有している仮想通貨の時価と、1年間に投入した円(原資)との差額を出せば、1年間の利益が計算できます

――なるほど。年末時点の総資産からから原資を引けば、その差額がそのまま利益というわけですね。

 そうです。ただ、この計算方法だと、12月31日時点の含み益も、所得に加算してしまいます

 例えば、「仮想通貨Aを12月1日に購入した。その後は売買していないが、12月31日までの間に値上がりし、50万円の含み益が出た」という場合。この50万円は含み益ですから本来、所得に含まれないのですが、「年末時点の時価−原資=所得」という上記の計算方法だと、50万円も所得に入れてしまっています。

 年末時点の時価から原資を引いた上で、含み益分も差し引けばいいのですが、それはそれで計算が面倒になる可能性があります。面倒でも細かく計算するか、税額が多少上がってもラクな方を取るか。納税者の選択ですね。

――ネットでは「12月31日時点ですべての仮想通貨を一度円に換えてしまい、その価格から原資を引いた結果が年間の所得だ」という意見がありました。その方法でも問題ないでしょうか?

 問題ないです。計算がラクになるので、計算が手間な方には賢い方法だと思います。

――仮想通貨の取引記録は残しておいた方がいいですか?

 残しておかなくてはなりません。オンライン取引所に残っていても、取引所が閉鎖してしまうリスクもあるので、ダウンロードはしておいた方がいいでしょう。

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