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かつて“課金率100%”うたった「神の手」、年末年始のテレビCM効果は「NOKIZAL」決算ピックアップ

» 2018年01月25日 14時39分 公開
[NOKIZALITmedia]

 バーチャルクレーンゲーム「神の手」を開発・運営するブランジスタゲーム(東京都渋谷区)が1月25日、官報に掲載した第2期決算公告(17年12月28日現在)によれば、純損失は2億6500万円の赤字(前年同期は3000万円の赤字)、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は2億9500万円の赤字(同3000万円の赤字)だった。

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 ブランジスタゲームネクシィーズグループブランジスタ子会社で2016年設立。秋元康氏がプロデューサーを務め、AKB48グループなどとコラボレーションした景品を展開するバーチャルクレーンゲーム「神の手」を開発・運営している。スマートフォンアプリを使ってバーチャルなクレーンゲームを遊べ、獲得した景品が実際に自宅に届く仕組み。

photo バーチャルクレーンゲーム「神の手」

 神の手は、秋元氏がプロデュースするスマホゲームということと、親会社のブランジスタが「課金率100%のゲームで、課金のみで年間1200億円の売上が見込める」との説明があり、注目を集めた。リリース直前の16年5月にはブランジスタの株価が乱高下している

 しかし、リリース直後に期待ほど伸びず、その後もさほど振るわない展開が続いていた。だが17年末〜18年の年始にかけてタレントの出川哲朗さん、乃木坂46の白石麻衣さんを起用したテレビCMを放送し、AppStoreのランキングで1位、150万ダウンロードを突破するなど、再び攻勢に出ている。

ここがポイント

 リリース前に大きな話題となり、親会社ブランジスタの株価を乱高下させた「神の手」。その後は、特に話題に上ることはありませんでしたが、年末年始にテレビCMを展開し、積極攻勢に出ています。

 今回の17年9月時点での決算を見ると、流動資産こそ流動負債の2倍確保されていますが、利益剰余金は約3億円の赤字、株主資本も約1億8000万円のマイナス。これをおそらく親会社からの固定負債(長期借入)でまかなっている状況ではないかと思われるので、年末年始のテレビCMも、大きく先行投資を行った状況でしょうか。

 運営に秋元氏が関わり、年末年始にAKB48などが登場するテレビCMを放送、数百万のダウンロード数を稼いだというと、14年末〜15年の年始にかけてのサイバーエージェント子会社の7gogoのトークアプリ「755」の積極的なプローモションを思い出します。

 その後、755は獲得したユーザー数のアドバンテージを生かせず、低空飛行が続いているようですが、神の手の結果は果たして……。

 ただ、神の手はゲームなので、1人当たりの売上や利益は事前にある程度予測できているはずであり、獲得したユーザーの歩留まりが予想よりよほど悪くない限りは、投資回収の計画は立てやすいかもしれません。ブランジスタゲームが見込みではなく実績で、市場を沸かせる時は来るのか注目です。

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《著者紹介》

平野健児。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの「SiteStock」や無料家計簿アプリ「ReceReco」他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業し「NOKIZAL」を運営中。

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