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「超絶望、取引停止は衝撃的だった」──コインチェック騒動 26歳男性ユーザーの心境は(2/2 ページ)

» 2018年01月31日 08時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]
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 「コインチェック側の回答が『確認中、検討中』の一点張りだったので、何も分からない状態で終わりました。NEM以外の通貨が失われる可能性があると聞いて、恐怖心がありました」(tetuさん)

 コインチェックは、インターネット上から秘密鍵を物理的に隔離する「コールドウォレット」で仮想通貨を保管するとしていたが、NEMはシステムの問題を理由に、オンラインで管理する「ホットウォレット」で保管していたことを明かした

 仮想通貨取引所の運営事業者は、2017年4月に施行された改正資金決済法によって登録制になった。サイバーセキュリティ対策や、預け入れ金銭の管理状況について外部監査を受けるなどの取り組みが求められるが、コインチェックは施行前から事業をスタートしており、登録を猶予された“みなし登録事業者”として運営を続けていた。

 「NEMであらわになったセキュリティの甘さは、他の通貨にもあるのではないか。他にも万全でない体制が残っているのではと、利用者としては安心して使えない取引所だと感じています」(tetuさん)

 tetuさんは一刻も早くNEM以外のアルトコインの取引再開を望んでいるとしながらも、「悪影響は避けられないだろう」と肩を落とす。

 「coincheckは日本で多くの仮想通貨を取り扱っていますが、取引が再開してもcoincheckに見切りを付けて売る人や、他の取引所に通貨を移動する人が増えるかもしれません。通貨の価値が悲惨なことになりそうです」(tetuさん)

仮想通貨、「簡単に買えるけど簡単ではない」

photo スマートフォンを開けば、すぐに仮想通貨の相場ウィジェット。「仕事中に見ると集中できず、寝る前に見て、起きても見る。値付けが下がれば気落ち、上がれば高揚する。これの繰り返し」(tetuさん)

 仮想通貨取引によって、億を超える額を稼いだ人(通称・億り人)が多く生まれたように、この数カ月から数年で仮想通貨を取り巻く環境は社会に大きく影響を与えた。tetuさんが仮想通貨に目を付けたときも、全体が高騰傾向にあり、期待や投資をあおる風潮があった。

 tetuさんは今回の騒動のこともあり、一時的に仮想通貨から手を引きたいと今の心境を話す。

 「仮想通貨なんて存在のないものに投資する時点で、消えてなくなる可能性は覚悟をしていました。コインチェックの取引停止は衝撃的で、記者会見の様子を食い入るように見ましたが、あがいても結果は変わらないし諦めています。生活費を全て入れているわけではないので、正直にいえば『運が悪かった』です」

 「価格の上げ下げ、日々増え続けるアルトコイン、情報収集──仮想通貨は簡単に買えるけど、簡単じゃありませんでした」(tetuさん)

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