ITmedia NEWS > 製品動向 >

過酷すぎ? モバイルバッテリーを釘刺し、火あぶりに Cheeroの「安全性試験」がガチすぎる理由(2/2 ページ)

» 2018年03月15日 18時15分 公開
[村上万純ITmedia]
前のページへ 1|2       

東社長 他社メーカーも、海外で販売するためにCEマーク(EU加盟国の基準を満たすもへの基準適合マーク)やFCCマーク(米連邦通信委員会による同様の認証)を取得しているので、それぞれに定められた試験を行っているはずです。

 他社の試験内容は分からないですが、動画の試験は当社独自のもの。安全性を担保するために安全な試験場を確保し、設備を整えた上で、製品安全管理の専門家と共同で試験を行っています。

ガス ガスバーナーであぶる
ガス 炎の温度は1000度以上

―― 経済産業省は2018年2月1日、モバイルバッテリーに対し、電気用品安全法(PSE法)の規制対象にすると発表し、PSEマークを取得していない製品の製造・輸入・販売ができなくなりました(19年1月31日までは猶予期間)。規制が厳しくなったことで、モバイルバッテリーの事故は減っていくのでしょうか。

東社長 これまでモバイルバッテリーに対しては、行うべき業界標準のテストはありませんでした。経産省の改定で、モバイルバッテリーは電気用品安全法上「リチウムイオン蓄電池」と同じ取り扱いとなりました。これにより、定められた安全性試験、基本設計の妥当性の確認、完成品検査として外観と出力電圧の全数検査の実施、記録の保存などが必要になってきます。PSEマークが必須になり、今後は各製品の安全性が高まることが期待されます。

PSE PSEマークについて(電気安全環境研究所より)

―― Cheeroのサイトでは、「IEC62133」「IEC60950-1」といった安全性に関する規格や、1.2メートルの高さからコンクリートの床にパッケージごと落とす「ドロップテスト」などもクリアしたとあります。これらは必須ではないのでしょうか。

東社長 サイトで紹介している規格は国内販売する上において義務ではありません。IEC62133はバッテリーの安全性についての規格で、これに準拠しているバッテリーを使用することは安全性を確保するのに重要な要因と考えられます。ドロップテストや「国連勧告輸送試験UN38.3」は航空輸送に関わる試験で、航空輸送時に必ず証明書が求められます。なので、他社も試験をクリアしているはずです。

―― 多くの企業で実施するもの、各社独自で行うものなど、安全への取り組みもさまざまなのですね。購入時にも参考になりそうです。しかし、実際買うときは「安くて大容量なもの」「色やデザインが好みのもの」などの基準で製品を選びがちです。安全に製品を選び、使うために何に気を付ければいいでしょうか。

東社長 非常に難しい質問です。以前は「価格を目安に」と言えましたが、現在は価格競争に入り、各社の企業努力でかなり安価で高品質なものも販売されています。強いて挙げれば、商品の問い合わせ窓口が日本国内にある会社の製品を優先的に検討するのはどうでしょう。

火 難燃性プラスチック材になっているか確認するため、火を当てている

―― 万が一何かあったときに、日本国内でサポートしてくれると安心ですね。他に注意点はありますか。

東社長 ご自分の用途にあった製品を購入され、正しく使用されると良いのではないかと思います。あとデバイスやバッテリー本体の充電に必要なケーブル、特にMicro USBケーブルについては、あまりに安価なものは端子のピンが細くて折れやすくショートが起こり易くなっているようなので注意が必要です。万一の事故にすぐに対応できるよう、できる限り目の届く範囲内で使うことも大切です。



前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.