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「技適」なしスマホを使うと罰せられる?  覚えておきたい技適の話(2/3 ページ)

» 2018年03月20日 06時00分 公開
[村上万純ITmedia]

LEDや家電製品から妨害電波

 最近はLEDから無自覚に妨害電波を出し、公共用無線に影響を与えていた例が、個人・法人問わずいくつかあるという。LEDには技適制度はなく電波法で取り締まれないので、メーカーやユーザーへの呼びかけ、問題のあるLEDの修理・改善などで対処している。

 他には、個人宅に取り付けたソーラー発電のコントローラーや、BS放送受信システム、家電製品が不要な電波を出す場合も。横田課長補佐は「適切な措置をすれば解決する場合がほとんど。部品や設備が古い、取り付け方に問題がある、周りの環境に原因があるなどいろんなケースがある」と話す。

BS BS放送受信システムの例(総務省より)

 特にLEDの場合などは無自覚な場合がほとんど。「いきなり『妨害電波が出ているようなので調査させてください』と言うと怪しまれることもあるので説明が大変です」と工藤監視官は苦笑する。調査に強制力はないので、あくまで立ち入り調査は「お願い」になる。すぐに原因を特定できないこともあるので、店舗の場合は営業時間外まで待ち、計測器のオン・オフを繰り返すことでようやく妨害電波の発信源を特定できることもあるという。特に店舗の場合はガラス張りだと電波が漏れやすいので、適切に遮蔽(しゃへい)できていれば問題が起きなかったケースも少なくない。

昔は改造無線などが多かったが…… 増える訪日外国人

 かつては、不法市民ラジオ(不法CB)、改造無線機、不法パーソナル無線などが妨害電波を出す例の大半を占めていたが、「今は外国人観光客が日本で使えない無線局(無線機器)を使うケースが増えているのでは」と工藤監視官は予想する。

不法 不法市民ラジオの例(総務省より)

 電波法には、訪日外国人向けの条項がある。それは「 海外で契約され、かつ日本の技術基準適合証明に相当する海外の技術基準に適合している端末については、日本のキャリアがその包括免許の中で運用できる 」( 電波法第103条の5 )ことと、「 無線LANやBluetoothについては、同じく海外の技術基準に適合している端末に限り、 入国の日から90日以内までなら技適マークがある端末と同じ扱いで運用できる」こと( 電波法第4条第2項 )。つまり、モバイル通信はOKだが、無線LANとBluetoothについては「90日ルール」が適用されるのだ。

90日 訪日外国人向けの90日ルール(総務省より)

 90日ルールの理由について、総務省は今年1月31日に公開した「第13回投資等ワーキング・グループ」の資料で、「訪日観光客の滞在環境の向上と電波環境への影響を鑑みて一定期間に限定」したと説明した。「外国人がOKなら、日本人だって海外製の無線機を使ってもいいじゃないか」という声も聞こえてきそうだが、この特例はあくまで観光目的で短期滞在する訪日外国人を想定したもの。そのため、利用可能な日数を短期滞在の在留上限と同じ90日に定めている。

 しかし、無線LANやBluetoothのような微弱な電波はそもそも日本の電波環境を乱すほどの問題を起こすものなのだろうか。さらに、デューラスシステムのセンサーで受信できるのか。工藤監視官は「(そこまで影響なさそうだし)使っても大丈夫そうじゃんと受け止められると、つらいですね」と苦笑する。

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