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» 2018年03月29日 11時08分 公開

SpaceX、2018年に人工衛星「SES-12」打ち上げへ (1/3)

SpaceX社は、2018年の2Q中に「SES-12」の打ち上げを行う。SES-12はどのような役割を持つのか。その詳細をSES社に聞いた。

[太田智美,ITmedia]

 米テキサス州オースティンで開催された最先端テクノロジーの祭典「SXSW 2018」(3月9〜18日)で、米SpaceXのイーロン・マスクCEOが打ち上げに成功した大型ロケット「Falcon Heavy」のショートムービー「Falcon Heavy & Starman」が披露された。

 この映像には、Falcon Heavyの打ち上げから2基のブースターがほぼ同時に着陸するシーンや、軌道を回るスターマン(Falcon Heavyで太陽の軌道に載せられている、Roadsterに乗った宇宙服を着たマネキン)の映像が映されており、多くの人の注目を集めた。

 SpaceX社といえば、機体を回収して再使用する衛星打ち上げロケット「Falcon 9」の打ち上げを初めて成功させたことでも知られる。今では低コストのロケットを武器に、衛星市場で大きなシェアを獲得している。

 そんなSpaceX社のFalcon 9による衛星打ち上げは、2018年の2Q中にも予定されている。そこで打ち上げるのが、ルクセンブルクの衛星通信会社SES社「SES-12」の人工衛星だ。SES-12はアジアパシフィック地域をカバー。ハイスループット衛星(HTS)と呼ばれる大容量通信衛星で、SESが展開するビデオ事業(世界で約7500チャンネルのテレビ放送を配信)、エンタープライズ事業(企業向けの支払いデータ通信など)、モビリティ事業(ケーブルがつなげない飛行機や船などの移動体にインフラを提供)、政府向け事業(米国国防総省など60以上の政府と取引。防衛や軍事、災害時や緊急避難時などの際の通信用途として)などの通信に役立てられるという。

 例えば、アジアパシフィック地域で17年には約1000機だったネットに接続する航空機総数が、26年には5500機まで増えると予想されており、SES-12の打ち上げによってそういったニーズにも対応できるとしている。


SES-12 (※以下、写真は17年5月にルクセンブルクに訪れた際に撮影したもの。SES本社を訪問した)ルクセンブルク東部のベッツドルフにあるSES本社に設置されたアンテナ。ルクセンブルクの経済を支えていた鉄鋼産業が1970年代に構造不況に陥り、政府は金融産業育成に力を入れる。同時に、経済の多様化を図り、衛星通信事業にも直接投資を行った。SESはルクセンブルク発(1985年設立)の欧州初民間衛星通信企業だ

 SES-12はSES-10と同様に、再利用のFALCON 9ロケットで打ち上げる予定。通信用アンテナはオーストラリアに設置され、SES-12のオペレーションはルクセンブルクのSES本社で管理されるという。

ルクセンブルクのSES本社を訪問

 筆者は、人工衛星「SES-12」を開発したルクセンブルクのSES本社を17年5月に訪問している。記事後半では、その際に訪ねたオペレーションセンターやアンテナなどの設備について写真で紹介していきたい。


SES-12 SES本社のChateau de Betzdorf。この建物で、現在のルクセンブルク大公が生まれ育ったという。フランス語圏で王族や貴族の住居を意味するChateau(シャトー)が使われているのは、そのような歴史があるため

SES-12 入口

SES-12 SES広報総責任者のMarkus Payerさん

SES-12 部屋

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