ITmedia NEWS > 社会とIT >
ニュース
» 2018年04月03日 18時22分 公開

市長が「不満が相当あった」 熊本市、日本マイクロソフトと働き方改革 地方自治体では“最大規模”

熊本市と日本マイクロソフトが、市職員と教職員1万2500人を対象に働き方改革を推し進める。「Microsoft 365」導入の他、AIが職員の働き方を分析し、助言する施策も。

[片渕陽平,ITmedia]

 熊本市と日本マイクロソフトは4月3日、市職員と教職員約1万2500人を対象に働き方改革を進めるプロジェクトを発表した。「Windows 10」「Office 365」などをまとめたクラウドベースのサービス「Microsoft 365」を導入する他、AI(人工知能)が職員の働き方を分析し、助言する施策も始める。日本マイクロソフトにとって「地方自治体では最大規模の取り組み」という。

photo 左から日本マイクロソフトの平野拓也社長、熊本市の大西一史市長

 Microsoft 365を全庁へ導入する。市職員に配備済みのタブレット端末(Surfaceが100台、iPadが500台)で先行導入し、デバイスのリプレースも含め段階的に広めていく。ビデオ会議サービス「Skype for Business」も活用し、市民が窓口などから本庁へオンラインで問い合わせできる仕組みも検討する。

 AI(人工知能)を活用したチャットbotを使い、市民からの問い合わせ対応、施設予約など、職員の業務量を軽減するツールも試作。訪日外国人へ対応するため、多言語化も予定している。

 AIが日々の働き方を分析し助言する、生産性分析ツール「Microsoft MyAnalytics」も導入する。MyAnalyticsは、メールに費やした時間、会議中に関係ない作業(内職)をしている時間などを把握し、不要な会議の洗い出し、コミュニケーションすべきメンバーの提案などを行う。

 災害に備え、クラウドサービスの特性を生かし、平常時の情報インフラをそのまま非常時の連絡手段に転用できるよう整備する他、災害時には庁内のシステムを活用し、人材や物資などの割り当ての円滑化を目指す。

 教職員も働き方改革の対象に。全136校の市立小中高校の教職員に対し、Windows 10搭載デバイスを配布。業務にクラウドシステムを活用し、文書のデジタル化によって印刷文書とコストの削減、授業コンテンツの共有、テレワークの運用などを加速させる。業務を効率化し、時間外労働を減らす狙い。

photo

「PCが出張のとき使えない」 市長は「不満が相当たまっていた」

 「PCが出張のとき使えなくて困る。私自身、不満が相当たまったものを、今回解決したい」――熊本市の大西一史市長はそう話す。これまで市職員向けのシステムは、全てオンプレミスで、導入した6000台の端末はデスクトップPC(Windows7)という状況。教職員も似たような状況で、ソフトウェアのライセンスも、購入したハードウェアにひも付いていたため、市職員と教職員でバラバラだったという。

 デバイスの段階的なリプレース、クラウドベースのMicrosoft 365への移行などで、そうした課題を解決し、自由度が高いシステムを構築する考えだ。

 熊本市は、2016年の熊本地震以降、日本マイクロソフトの支援を受けてきた。災害時、同社は避難所や物資拠点、市役所間の情報連携をスムーズにするため、Office 365やSurfaceを市に無償提供。パートナー企業やNPOと連携し、避難所の管理者などが災害情報を共有できる「くまもとRねっと」の仕組み作りにも貢献した。

 大西市長は、そうした有用性を認識した一方、「復興を加速させ、市民満足度を向上させるには、職員の満足度を上げる必要がある」とし、働き方改革に本腰を入れる。繁忙期の区役所などでは、市民が行政手続きに数時間待たされる、ということがあるが、17年から書類の電子化など改善を進め、最大でも数十分に短縮できたという。

 大西市長は「市民を待たせるということは、その分だけ職員が処理に時間がかかっているということ。市民の時間を短縮するとともに、職員も早く帰れるようになる」と説明する。日本マイクロソフトと連携し、そうした改革を推し進める。

 投資額は、5年間で47億円を予定。日本マイクロソフトが提供するクラウドサービス、デバイスに限らず、庁内でのWi-Fi整備といったコストも含める。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.