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» 2018年05月09日 06時00分 公開

海賊版より魅力的なサイトを 一歩先行く「アダルトコミック業界」に学ぶ (1/3)

使いやすく便利な公式プラットフォームを――漫画の海賊版サイト問題を受け、解決策の1つとしてしばしばこんな提案がされる。実はアダルトコミック業界では、出版社を横断した定額制読み放題サービスが提供されている。

[村上万純,ITmedia]

 出版社横断の使いやすい公式プラットフォームを立ち上げるべき――これは「漫画村」をはじめとする海賊版サイトへの対抗策として、しばしば挙げられる案の1つだ。しかし、現状は各出版社の漫画アプリやサービスなどが乱立しており、ユーザーにとっては決して使い勝手がいいといえる状況ではない。

 出版社を横断する漫画のポータルサイトについては、講談社の広報室長がITmedia NEWSの取材に対して「他の出版社と非公式に話をした人間もいるが、具体的な仕組みを描くまでには至らず、なかなか話が進んでいないのが実情」と言及。問題意識はあるものの、課金の仕組みや立て付けなどを含め議論すべきことが多く、難航しているという。

 漫画版「Spotify」や「Apple Music」(定額制音楽ストリーミングサービス)を求める声も少なくない。漫画と音楽ではコンテンツの性質や消費の仕方、前提とするマーケットの大きさが異なるが、参考にできる部分もあるだろう。

 一方、アダルトコミック業界に目を向けると、日本市場向けに定額制アダルト漫画読み放題サービス「Komiflo」が提供されている。ワニマガジン社、コアマガジンなど、出版社横断で連携しているのが特徴だ。

コミフロ 定額制アダルト漫画読み放題サービス「Komiflo

 4月23日にイベントスペース阿佐ヶ谷ロフトAで開催されたイベント「海賊サイトによりマンガ文化が壊される!作家が生き残る方法とは?」に登壇した、美少女コミック研究家で「エロマンガ表現史」などの著書で知られる稀見理都(きみりと)さんは、「アダルトコミックは特別な業界で、一般的な漫画の枠に入らない例がある」と前置きしながらも、「Komifloは実際に出版社横断で定額読み放題サービスを提供している。(一般の漫画出版社も)参考にできる点はあるかもしれない」と語った。

イベント イベント内でもKomifloが話題に

登壇者一覧(敬称略)

瀬尾 太一(写真家、日本写真著作権協会常務理事)

森田 崇(漫画家)

楠 正憲(国際大学GLOCOM客員研究員)

植村 八潮(専修大学教授、元出版デジタル機構会長)

仲俣 暁生(編集者、Webメディア「マガジン航」編集発行人)

稀見 理都(美少女コミック研究家)

鈴木 みそ(漫画家)

データジャーナリストA(匿名)

鷹野 凌(日本独立作家同盟理事長)

まつもと あつし(モデレーター/ジャーナリスト)


 イベントでは、「出版社が海賊版サイトをうまく取り込めるといい」という案も。実際、日本作品を無断でアップロードしていた海外サイトに日本企業が声を掛けて公式パートナーにしてしまった例として、米国のアニメ配信サービス「Crunchyroll」(クランチロール)や中国の動画共有サイト「bilibili」(通称、ビリビリ動画)、アダルトコミック配信サービス「FAKKU」などが挙げられる(いずれも国外向けサービス)。

クランチロール 米国のアニメ配信サービス「Crunchyroll」(クランチロール)

 しかし、海賊版サイトは運営やドメイン、サーバなどが海外であることも多く、悪質なサイトの場合はそもそも取り合ってもらえない可能性もある。

 日本の漫画市場はどうなっていくのか。海賊版サイト対策にまい進し、一歩先を行くアダルトコミック業界から学べることは。Komifloに聞いてみた。

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