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» 2018年05月09日 06時00分 公開

海賊版より魅力的なサイトを 一歩先行く「アダルトコミック業界」に学ぶ (2/3)

[村上万純,ITmedia]

エロ読み放題は「現実的な代替案」

 「定額読み放題サービスは、海賊版サイトへの現実的な代替案」――ITmedia NEWSの取材に対し、Komifloはこう答えた。

 Komifloは、2016年設立のKomiflo(東京都新宿区)が提供する月額980円(税別)の成人向け漫画読み放題サービスで、「立ち上げには、出版系含むいくつかの企業が関わっている」という。

 「COMIC快楽天」「COMIC失楽天」「COMIC HOTMILK」などの成人向け雑誌の他、成人向けコミックを配信する。決済手段はクレジットカード。AppleによるiOSアプリの審査がアダルトコンテンツに厳しく、日本の配信業者を長年悩ませてきたが、KomifloはPCやスマートフォンのWebブラウザ向けサービスとして提供している。

コミフロ Komifloの特徴(公式サイトより)

 同社は「広告に左右されない、安価な値段で快適に漫画を読める場が必要だった」とし、「たとえ海賊版サイトがなくても漫画の楽しみ方は紙からWebに移行しており、コンテンツを届ける新しい方法は不可欠だった」と会社の設立背景を語る。

 海賊版サイト撲滅にも積極的だが、日本をはじめほとんどの国の著作権法では、権利者(または代理人)が告訴しない限り起訴できない「親告罪」が採用されており、通告・報告の手段には限界がある。

 ちなみに、12年ごろ話題になった環太平洋連携協定(TPP)の交渉では、米国の提案に「著作権侵害の非親告罪化」が盛り込まれていた。コミケなどで販売される漫画同人誌は対象外とされたが、同人誌時代を経てデビューした売れっ子漫画家も多く、当時は「エロ系パロディーの二次創作は駆逐されてしまうのでは」と非親告罪化に慎重な声も多かった。

 漫画「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などのヒット作で知られる赤松健さんは、作者が二次創作を公認する意思を示す「同人マーク」を発案していた。しかし、17年1月に米トランプ大統領がTPPからの離脱を決めたことが分かり、この議論はいったん白紙に。望ましい知財の在り方については、引き続き議論が続いている。

同人 同人マーク(commonsphereより)

 Komifloに話を戻そう。直接的にできる対策は限られているが、「魅力的で使いやすい公式サービスを提供することで、日本のユーザーは応えてくれる」というのが同社の考えだ。

 海賊版サイトには、ウイルスや個人情報流出のリスク、執拗(しつよう)に追いかけてくる煩わしい広告の存在など、セキュリティ上の危険も多い。「リスクが多いのに、ほとんどのユーザーは無自覚に『何となく』利用している現状がある。安全で便利な公式サービスがあればユーザーは徐々にそちらに流れるのでは」(Komiflo)

FAKKU 日本からFAKKUにアクセスすると、Komifloへのアクセスを促される

 「海賊版サイトによってモチベーションをなくす作家もいると聞く。Komifloの影響はまだ小さいと思うが、利用可能なサービスの改善・拡大に務め、そういった問題を未然に防いでいきたい」(Komiflo)

 また、成人向け漫画は同人文化との関わりも深い。

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