また、これまでASICによる計算ができなかったアルゴリズムに対しても新たにASICが作られることもある。最近でいえば匿名仮想通貨の「ジーキャッシュ」が採用する「Equihash」がそうで、18年5月3日に中国BITMAIN社がEquihash対応のASICを発売している。
ASICの新規参入がその仮想通貨のハッシュパワーの割合を変化させることはもちろん、これまでGPUマイニングしていたマイナーがASICを購入した場合、GPUリソースを別の仮想通貨へ向けることも考えられる。
今回攻撃を受けたモナコインは、ASIC耐性のある「Lyra2REv2」(以前はScrypt)、ビットコインゴールドは「Equihash」をマイニングアルゴリズムに採用している。
特にビットコインゴールドに関して、Keychainのジョナサン・ホープCEOは「ビットコインのハッシュレートは3500万テラハッシュ毎秒あるのに対し、ジーキャッシュは0.43テラハッシュ毎秒、ビットコインゴールドは0.03テラハッシュ毎秒しかない」とアルトコインに集まるハッシュパワーの少なさについて指摘する。
ジーキャッシュと比べても、ビットコインゴールドには10分の1以下のハッシュパワーしか集まっていない。ジーキャッシュに向けられていたハッシュパワーが突然ビットコインゴールドに向いた場合、ビットコインゴールドのハッシュパワーの割合に比較的大きな変化があるのは想像に難くない。
PoWを採用している小さなアルトコインが複数生まれ、ハッシュパワーの移動が可能になったことでハッシュパワーによる攻撃が可能になったのではないか――杉井CEOはそのように分析している。
杉井CEOは「PoWだけには限界があるのかもしれない」とした上で「PoWと他の合意形成アルゴリズムを組み合わせることで解決できるのではないか」という。
「例えば“Proof of Stake”(プルーフ・オブ・ステーク、PoS)と組み合わせる。PoSではそのコインをたくさん持っている人の方がマイニングで有利になる。そのような仕組みを合わせることで今後解決するのではないか」(杉井CEO)
Keychainジョナサン・ホープCEOも「ベースとしてはPoWが一番良い合意形成アルゴリズムだと思う。他の合意形成アルゴリズムもいくつか研究されている。そういったものとPoWを混ぜるのがいいのではないかと考えてる」と杉井CEOに同意した。
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