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「ゲーム用語が分からなかった」 タニタのゲーム業界進出、責任者は“ゲーム初心者”だった(1/4 ページ)

» 2018年06月15日 07時00分 公開
[片渕陽平ITmedia]

 体重計メーカーのタニタが、ゲームコントローラー「ツインスティックVTX」(バージョン・タニタ・エキストラ)の開発に乗り出す。セガゲームスが2月に発売したゲームソフト「電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機」(プレイステーション4)に対応した操縦かん型のコントローラーだ。

photo タニタがゲームコントローラー「ツインスティックVTX」を開発する=クラウドファンディングのプロジェクトページより

 「タニタが本気だ」「情熱を感じる」「ニッチな商品だが大丈夫か」――タニタの挑戦は、ネット上のファンを沸かせた。とある魔術の電脳戦機は、巨大なロボットを操る対戦型アクションゲーム「電脳戦機バーチャロン」シリーズの15年ぶりの新作。その周辺機器を、タニタが手掛けるというのだ。6月8日には、開発費用を募るためにクラウドファンディングのプロジェクトが始動した

 ゲーム分野は、タニタにとって新たな事業領域。そんな開発プロジェクトを任されたのは、新事業企画推進部の久保彬子さん。それまで久保さんはあまりゲームに触れたことがなく、途中「めちゃくちゃ心が折れた」という。

 外出中も「道路のポールやガードレールが、ツインスティックに見えてしまう」ほどプロジェクトについて考えていた――久保さんに舞台裏を聞いた。

photo タニタ新事業企画推進部の久保彬子さん

「それなら私に作らせてほしい」

 プロジェクトが始まるきっかけは、タニタの谷田千里社長がセガゲームスの松原健二社長と会い、話をする中で、15年ぶりのバーチャロン復活を発売前に知ったことだった。谷田社長はバーチャロンのファン。セガのスタッフを招き、社内でバーチャロン大会を開くなど、交流もあった。

 バーチャロンの過去作は、アーケードゲームと家庭用ゲームで展開。家庭用ゲーム機の周辺機器として、アーケードゲームの気分を味わえるツインスティックも発売されてきた。しかし新作ではツインスティックの発売予定はなく、「それなら私に作らせてほしい」と谷田社長が声を上げた。

 2018年1月、谷田社長から「社内で作れないか検討したい」と相談を持ち掛けられたのが、久保さんだった。

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